コンビニゆうマートに寄ってみた。



いや、駆け込んだと言った方が正しいかも知れない。





━━━━「助けてっ!魔物に追われているのっ!」

数匹の魔物達から命からがらとある建物に避難した。連れてきてしまった場所は、武器防具を売っている
でも無く、かと言ってよろず屋…っぽいようなそうでもないような、店。
レジに一人の勇者を思わせる人物が唖然とその光景を見ていた。

「一人じゃ太刀打ちできない、お願い、力を貸してっ!」

「(バイト中なのに…;;;)しょうがないな」

その人が呪文を唱えると、炎の魔法が魔物達を焼き尽くす。
後に残された2、3匹は怯えて逃げ出してしまった。

「…ありがとう、助かった。あ、他の客も迷惑をかけてしまってごめんなさい」

「…君は、もしかして旅の人なのか?」

「えぇ。私は
。父の無念を晴らすべく、魔王を倒す旅をしているの。」

「(魔王か。そんな時期もあったな。。。)一人で旅をしているなら
ここで装備を揃えていくといいよ。冒険に必要なアイテムは大体売っているから」

「へぇ、こんな場所があるとは知らなかった。ありがとう!早速使わせていただくわ。」


「ご利用、よろしく。」


これがきっかけで、ここ・コンビニゆうマートに訪れることになった。━━━━
















コンビニゆうマートに寄ってみた。




魔王との決戦が近いため、十分な準備を整える事になった。






━━━━「いらっしゃいませー。…って、アンタか。よく顔を見るな」


「こんにちはあーさん。ここは少し高いけど必要なアイテムや回復魔法がたくさん置いてあるから
すごく便利ね!しかも一日中開いてて、緊急事態とかにすぐに対応できるし。さすがコンビニ。」

「…お褒め言葉、光栄です」


…特別サービスとして値引き、とかしてくれないだろうかと密かに思ったけど、そこまでここのお店は甘くないか。。

「おかげでレベルもアップしてこれから仲間たちと共にいよいよ魔王討伐に出かけるの!」


「あれから成長したな。はいお釣り」

他にも話したいことが山ほどあった。客の数もあるし、そして何より魔王を倒さなくてはならない。

世界が平和になったその時に、またここに寄ってゆっくり話そう。
準備もようやく整った。出発しようと店を出ようとした寸前にあーさんに呼び止められた。

。これ、忘れ物」

「あっ、」

それは瀕死状態を回復させる、戦闘中に必要不可欠なアイテムだった。あーさんがもし拾ってくれなかったら

確実に全滅し、世界の大恥になる所だった。魔王との対決までには、重宝しておこう。あーさんに再び礼を言う。

「ありがとう、あーさん。じゃあっ!」

「(あーさん…か(照))魔王討伐、頑張って」━━━━
















コンビニゆうマートに寄ってみた。




魔王に打ち勝ち、世界に平和が訪れた。特にアイテムを買う必要もなく、今日も顔を見に来た程度。




ここのお姫様(店員さん)や王様(店長さん)とすっかり馴染み、お友達になった。





━━━━「あーさん。今日はレジはお休み?」


「あぁ、今日は陳列の担当。後は商品管理や外の掃除…って、
、その格好、」

「ん、なぁに?」

「いや、あまりにも…真新しすぎるから」


田舎の女の子たちが着る素朴なドレスに身を包んだ私を見て、あーさんが驚くのも当然だった。
いつも戦士の格好で来ていた私だったから。結構慣れていないため、自分でも新鮮に思う。

「私が瀕死になった時、仲間があーさんが拾ってくれたアイテムを使って命拾いしたおかげで

父の仇を取ることが出来たわ。これも全部あーさんとコンビニゆうマートのおかげ!」

「ありがとう。////…平和になったせいで客も少なくなってしまったけど」

「けど毎日365日、24時間営業無休で働いているんでしょ?せっかく暇になったんだし、たまには

休暇をもらったら?」

「いつかそうするけど。これも時給アップの為だから」

ふと、店の壁にあまり目立たないように貼られた『目標・時給up!!』の小さな紙。

…そうだ、これまであーさんに助けられた訳だし、何か贈りたいな。彼の喜ぶものは一体何だろうか。
まずはあーさんの生まれた日を知りたい。もし過ぎていたら何もお祝いできないし残念だな。

「ねぇあーさん、いつが、お誕生日?」

「?今月の11日だけど」


それなら近い。良かった、まだ間に合うなと顔は喜びで輝いていた。

「それが何か?」

「あっ、いや、何となく聞いてみただけだからっ!ごめんなさい、じゃあまた」


「変な
だな。。。」と呟くあーさんを残して、逃げるようにこの場を後にした。━━━━



       












コンビニゆうマートに寄ってみた。




一時的な平和は長く続かなかった。どこかでまた新たな魔王が世界を脅かそうとしている。




それに伴い、また新たな装備を整える事になった。今回の魔王は前よりも一段と強いと聞く。






━━━━コンビニゆうマートも合わせるように、最強の魔法やアイテムを続々と入荷してくれる。

それに種類も豊富。だから私はここが好きで立ち寄らずにはいられない。し、何より
彼にあるものを渡したかった。

「あーさんって勇者なのに、魔王を倒しに行かないの?」

…と以前から気になった事を聞きたかったけど、あーさんなりの都合があるんだろうと、敢えて止めた。

それに彼の望んだ道に私が横から言う筋合いは無い。

「よく休めた?」

「あぁ、
に言われて連休を取った」

「お互い忙しくなるね」

「あぁ。
も無理せず頑張って」

「えぇ、必ず倒してみせるから」

会計時。あーさんにお釣りを出させるために、ゴールドをわざと多めに出す。「お釣り」と手を出した直後に

ずっと隠していたある物を「これ」と言ってあーさんの手にぎゅっと包み込ませた。

何か食べ物とか作っても良かったけど、そんな女の子らしいことは出来ないし、ましてや家系が戦士で不器用なので
『大願成就』と書かれた簡単なお守り袋を作った。あーさんが喜ぶかどうか保証はできないけど、
なるべく反応を見ないように素早く店から出て行った。━━━━















コンビニゆうマートに寄ってみた。






━━━━「レベル上げ、頑張ってる?」「うん、まぁまぁね。」など他愛ない会話から始まり、客のことも考えて短い世間話。

そして会計。…この前の反応が全く無く、相変わらず間延びしているような顔から見て
「あぁきっと忙しいから見る余裕が無かったんだな。。」と少し落胆する。諦めるように店から出ようとした、時。

「あ、
。」

と、再び呼び止められた。また何か落としてしまったんだろうかと思ったけど、そうではなかった。
あーさんが一枚の紙らしきものを私に差し出したからだ。

だけに特別に。」

「…?これは?」

「無料券。…までは流石に行かないから一年間半額券。」


「い、いいの!?」

「お守り袋のお礼。」


「!…」

やっぱり、と心が舞い踊った。もちろん応えてあげなくちゃ!ゆうマートをバンバン使いまくろう!と誓った

そんな私にあーさんが優しく、にっこりと微笑んでくれた。「ありがとう」と、言いたいように。
口元だけだけどあんなに笑う姿が初めて見れた。と思うと嬉しさが2倍になり、
今日も魔物退治に颯爽と出かける足取りが軽かった。



明日も、明後日も、コンビニゆうマートに行こう。あーさんの働く姿、元気な姿を見たいために。





-end-






★勇者ああああって、何ともキーボードで打ちやすいですよねヽ(*´∀`)ノ←そこかい!


勇さんって何だか堅苦しい感じがするし、何より名前で呼びたいから可愛くあーさんにしました、呼びやすいし♪

アッシュくんの10日に続いて11日があーさん、2日連続!!;;;とまたも急いで書き上げました。
何とか間に合って、今日が休みで良かったとどれだけ助かったことでしょうか、休日の有り難みに
いつも感謝しております^^(笑)

あーたん、可愛いよ、あーたん(●´ω`●)20fantasiaで密かに人気ですよね


14.11.9