ちゃん、早く早く!」

「い、いいのヨンちゃん?すごく緊張しちゃうよ。」

「だーいじょうぶだって!ユン姉には話しといたからっ!」



韓国出身の友人・ヨンちゃんに手を引っ張られ、ユンさんの居るビルの廊下を足早に駆けていく。
片手には渡すのを諦めていた大きな花束。
自分でも思いもよらぬきっかけになったのは、約10分前の出来事。














地元でも日本でも活躍している韓国のトップモデル・ユンさん。ヨンちゃんの影響で興味が湧き、そして大ファンの一人になった。
今日がそんな彼女の握手会。日本で一度でしか行われない大イベントなので私は嬉々としてその場所へ向かった。
やはり私と同じ考えだろう、多くのファン達で人だかりが出来ていた。そのもっと奥にユンさんの姿。握手されて帰っていく人達がとても羨ましい。
この人の多さだと私の所までは厳しいだろう。こんな運の悪い予想は必ず当たるものだ、定員オーバーで握手会はあっけなく終了。
選ぶのを苦労して購入した花束は残念ながら渡せずじまいという結果になった。肩を落として帰ろうとしたら、たまたまそこに居合わせていた
友人でもあってユンさんの実の妹さん・ヨンちゃんに呼び止められ、プライベートで会わせてくれる事になったのだ。





「控え室」と書かれたプレートが掛けられたドアの前に立つ。ヨンちゃんが2回ノックしてドアががちゃりと開かれた。
緊張の面持ちで部屋にゆっくりと入る。



「ユン姉、私のお友達の ちゃんだよ!」

「ようこそ、いらっしゃい。」

「(わぁっ…やっぱりかっこいいっ……。)」



アイドルのヨンちゃんもそうだけど、さすがはモデル。テレビや雑誌でしか全くお目にかかれなかったけど、やっぱり生で、しかも近くで見ると
その迫力やオーラが全然違う。それもモデルさんとアイドルさんという姉妹が二人揃えば倍に増長。魅力的な力に私はただただ気圧される他なかった。
せっかく本人がこうして目の前にいるというのに、今の今まで描いていたイメージ通りのように言葉が上手に出せない。
一段と高まる緊張と遂に会えた感動で体がガチガチに固まり、花束を持つ手に自然と力がこもってしまう。
そんな私に、ユンさんは待っていたように席から立つと清楚で気品のある笑顔でそっと手を差し出してくれた。



「妹から貴女の事を聞いたわ。お会いできて光栄よ。」

「こ、こちらこそ、ユンさんにこうして会えるなんて思ってもみなかったので、凄く嬉しいですっ!今日の感動を私は一生忘れません!」

「ふふ、ありがとう。そう言ってくれると私も嬉しいわ。」



乾いた口でありったけの言葉を発すると目を細めてにっこり笑うユンさん。綺麗な肌色のスラリとした手のひらと指が私の手をそっと包み込む。
モデルさんの柔らかくて、優しい感触に眩暈を覚えそうだった。そしてあまり気取りはしないかっこいい微笑み。私はそれにますます心を奪われた。
そんな様子を、ヨンちゃんは満足に笑いながら見守っていた。
日本の国花と言えば桜。淡い桃色に彩られた桜の花束をユンさんに贈る。



「まぁ、綺麗っ…。高かったでしょうに」

「ユンさんに渡してあげたいなぁってずっと思って。私の気持ちです。」

「嬉しい。家に大事に飾っておくわ。本当にありがとう、 ちゃん。」



ユンさんの口から早速私の名前が零れて気恥ずかしくなる。嬉しげに花束を大事に受け取るとそれをうっとりと眺めていた。
ユンさんの言う通り、確かに値段が高くてせっかく貯めたお小遣いを遣い込んでしまったけど彼女の満足した笑顔を見ると安心した。
買った甲斐があった。と嬉しかった。



「そうだわ ちゃん。携帯電話持ってる?」

「え、はい、持ってますけど」

「ちょうどいいわ、ちょっと貸してくれる?」



私が鞄から愛用の携帯電話を取り出し、ユンさんに差し出すと何やら自分の携帯電話を出して何か入力し始めた。ヨンちゃんが
興味津々にそれを覗き込む。しばらくの後、返されて液晶画面を見た瞬間、信じられない、と驚いて心臓が高鳴った。
ユンさんの名前付きの電話番号が登録されていたのだ。



「こ、これ、」

「花束のお礼。ゆっくりお話したり近々3人で一緒にショッピングに行きましょうね。」

「いいねっ! ちゃん、その時に美味しいお店教えてねッ!」



まさかの展開に心が舞い踊った。憧れのモデルさんと友達になれる。



「はいっ!楽しみにしてますっ!」




テレビや雑誌で彼女を見つけたとき、最初から信じてくれるわけないけれど他の友達に思いっきり自慢できる。
「良かったね!」と満面の笑みでピースサインを送るヨンちゃんに感謝の気持ちで一杯だった。
ユンさん達と肩を並んでショッピング出来る日が楽しみで楽しみで待ち遠しかった。




-end-






★最近、古いゲームではありますがサウンドノベルゲーム「街」というゲームにハマって面白いです(*´∀`*)おかげでまたまた更新が鈍足に(;´Д`) (;´Д`)(;´Д`)
一人一人の主人公が絡まって、なかなか見応えあるシナリオが用意されて結末が気になります♪…やっぱプロのシナリオライターさんが書いた小説力は
全然違いますねぇ…orzモデルさんに憧れる&奇跡的に会えた時の心境を書いてみました^^…実際会ったことも見たことすら無いですけど(死”)

さて何故ヨンさんなのか言いますと、ロキ嬢やマチコ姐さんほどの嫁キャラLvには行かないけど無論・かっこよくてお気に入りの女性だからですっ!!(*´∀`*)
何年か前までは韓流が一際流行っていたのにめっきりあまり聞かなくなって少し淋しいですね。。。。


15.2.20