「大牙くん、はいこれっ!」
2月14日。恋をする女の子たちが待ちに待ったバレンタインデー。私の部屋で二人っきりの時間。
お洒落なデザインの入った蓋を開けて見せると大牙くんの顔がまるで可愛い猫を見るように目を輝かせていた。
「おぉっ!」と頬を緩ませ、一つ一つ綺麗に並べられたチョコレートを眺める。
「すげー!全部
が作ったのかっ?」
「えぇ、この日の為に一生懸命頑張ったんだよ。」
「デザインもすごく凝っているな…
、絶対いい嫁さんになれるよ!」
「ふふ、チョコの数が多いほど愛の数も多いということよ。それに…私の将来のお相手は大牙くんって決まっているもの。」
「おっ、…おいおいよせよっ…。て、照れるな…////」
「うふふっ。」
そんなこんなで二人だけの甘くてくすぐったく感じる会話が繰り広げられる中、誰かの2階へ上がってくる軽快な足音に
私たちは当然気付かなかった。
「俺が、全部頂いていいのかっ??」
「ふふ、受け取って。」
「ありがとう、
!」
大牙くんが嬉々としてチョコを手に取ろうとしたその時。部屋のドアがいきなりバーンと開かれ、私たちはビクッとなった。
親が来たのかと思った。にしてはあまりに強引すぎるっ。その訪問者は予想外の人物でもっとびっくりした。
「じゃじゃぁ〜んっ!!トップアイドルのうさぬこたん、只今参上っ!!だぬ〜☆」
「なっ、おまっ…」
「う、うさぬこちゃん!?;;今日のお仕事はどうしたのっ?」
「えっへっへ〜アイドルもたまにはお休みがないと、やってらんねーだぬ〜♪」
「で、でもどうしてここに??」
「うん?
ちゃんの可愛い妹さんに『お姉ちゃんお家にいるよ〜✽』って教えられて案内してもらったんだぬっ♪
………あ〜〜〜〜〜も し か し て、お邪魔だっただぬか???(にやにや)」
「う、ううんそんな事ないよっ!どうぞ座って。」
「えへへ、おデートの最中ごめんなさいだぬねー☆」
もう妹ったら調子に乗ると周りの空気を読まないんだから。けど人気アイドルとして急上昇のうさぬこちゃんが
こうして生で見られるのは滅多にない事だから邪魔どころかむしろ嬉しい気持ちが先立っていた。颯爽と部屋に入ると
空いている座布団の上にぼふっと音を立てて勢いよく座るうさぬこちゃん。これを見て不機嫌そうに眉をしかめたのは大牙くん。
せっかくの二人の時間を邪魔されて、少々ご立腹の様子だった。「
もお人好しなんだから…」と言いたいように
呆れ顔で私を見つめる。そして私たち二人と手に持っているチョコレートを交互に見て、うさぬこちゃんのにやにやが
更に一層増した。
「Σあ”〜〜〜!!そうかそうかぁ〜今日は恋人たちにとってチョコのように甘〜いひと時、バレンタインデーだからこうして
二人だけで幸せな時間を過ごそうと、そぉいう事だったんだぬね〜☆うふふふ憎らしいぃ〜〜昼間からいちゃいちゃしやがって
コノヤロー★」
「…別に俺達がどう過ごそうが、関係ないだろ…。」
大牙くんが不機嫌ながらもぼそっと呟いた言葉。うさぬこちゃんにとって爆弾発言だったっ。
「む”っっっ!?Σなぁにを言い出すだぬかぁぁっっ!!!せっかく遊びに来てあげたこのトップアイドルに対して
失礼この上ないだぬっ!!!たいたいは罰としてしばらく口を慎むだぬ〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」
「Σたいたい!?;;」
「イテテテテっっ!!;;;わ、悪かったから殴るなっt…いたたたたっっっ!!!!;;;;」
必死にガードする大牙くんの頭をぽかすか殴りつけるうさぬこちゃん。まるで漫才でも見せられているかのように
「ふふっ。」と笑いを零してしまった。そんな私にうさぬこちゃんが顔をいきなり真ん前まで近づけたのでまたもびっくりしてしまった。
「ねぇねぇねぇねぇ
ー、そのチョコレート
の手作りなんでしょでしょっ?私にもちょーだいだぬー♪」
え、と弱ってしまった。ちょうど二人分あったら渡してあげたかったけれど、あいにく大牙くん一人分しか作っていない。
うさぬこちゃんのキラキラとしたおねだり視線と、大牙くんの「渡すなよ!絶対渡すなよ!」とじりじり追い詰めるような視線が両方迫り
私を困惑させた。しばらく悩み果てた結果。
「…じゃあー友チョコとして、はい、どうぞ!」
「Σわぁーいっ!!ありがとだぬ〜♥」
「な”っっっ………!!!(がーん||||||)」
まだ大牙くんが一度も味わっていない真新しいチョコの一つを差し上げると、それをすぐにひょいっと口の中に放り込んでしまった。
うさぬこちゃんの顔がみるみる紅潮し、もぐもぐ食べながら頬に手を当てる。
「ん〜〜〜〜〜!!!♥
のバレンタインチョコ超ーーーーー美味しいだぬ〜〜〜♥♥もっとちょぉーだいっ♪」
「ふふ、はい。追加」
「Σケチケチしないで、そのチョコを全部よこすだぬ〜〜!!!」
「おいっ、全部ってっっ……!!;;」
「じゃあ今日はうさぬこちゃんのバレンタインバースデーという事で。はいっ、プレゼント!」
「Σおいぃぃぃぃっ、
ーーーっっ!!!!??;;;;;」
「ぃやぁったぁ〜!!!さっすが
、私のお誕生日分かってくれてるだぬー!!♪やっぱりバレンタインデーチョコは
手作りに限るだぬっ!今まで色んな誕生日チョコを貰ってきたけど、
の作ったのがいっちばん最高だぬ〜☆
早く私も恋人さっさと捕まえて本命チョコが作れるように全力尽くして頑張んなくっちゃだぬっ!!
バレンタインデーという幸せな一日に生まれたこのうさぬこたん、もぉう幸せすぎて死んでしまいたいぐらいに嬉しいだぬーーー♥♥♥」
とか何とか言いながら窓まで走り寄ったかと思うと突然ガラッと開け、窓枠に足をかけた。ちょっ、これって、まさか、本気!!?
「ちょっとっ!?う、うさぬこちゃん、早まらないでっっっ……!!!;;;」
「死ぬ気かあぁぁぁっっっ!!!???;;;;」
驚愕しながらも身動きがとれないまま見守る中。ダンっと足踏みの音がし、スーっと滑り落ちる音。あ、屋根を使って降りて行ったんだ。
いつの間にか地面に無傷で着地し、軽快なステップで歩いていくうさぬこちゃんの姿。こんな人並み外れた体力があったなんて
うさぬこちゃん、最強…。とある意味尊敬してしまった。そして大牙くんに渡すはずだったバレンタインデーチョコレートの入った箱を
大事に抱えながら、「じゃあね〜だぬ〜♪」と上機嫌でこちらに手を大きく振りながら、うさぬこちゃんはルンルンと帰っていってしまった。
部屋の方に振り向くと、それに対するように大牙くんが溜息を小さく零しながらがっくしと肩を落としていた。
「ごめんね。大牙くん。」
「いや、いいよ。ちょうど彼女の誕生日が重なってたからな。…仕方ないよ」
「また今度、もっと豪勢なチョコを作ってあげるから!…だからこれで許して、ね?」
ちゅっ。と大好きな大牙くんの唇に触れた。頬を真っ赤にして呆気にとられたようにしばらく硬直していたけど
さっきまでの沈痛な表情が吹き飛んだかのようないつもの優しい元気な笑顔に戻ってくれた。
「おうっ!期待しているからな、
っ!」
うさぬこちゃんの幸せで満足した笑顔。渡し損ねてしまったけど大牙くんに贈ったチョコの代わりのバレンタインキス。
今年も幸せいっぱいのバレンタインデーを充実することが出来て、私も幸せいっぱいだった。
-end-
★2月と言えばやっぱりバレンタインデーですね★という事でちょーど誕生日が重なったうさぬこたんを書きました♪
しかも私の大好きキャラ、ワンくんと同じ誕生日の、しかもバレンタインデー…!何かご縁があるのでしょうか(*´∀`*)
…あーこれ書いたらお腹がぐぅ〜って鳴ってチョコが真っ先に食べたくなっただぬ!!夜中はお菓子禁止だけど
こっそり食っといたらバレないだぬ!!(もうこの時点でバレてますけど;;;)つか、自分もだぬ語になってしまっただぬっ!!!(笑)
…あ?私の本命チョコはロミ夫さんに決まっとr(ry
そしてそして最近の大ニュース(?”)っ!!大牙くんまさかのmikko.の嫁キャラ6人目なるか!?(ニュースか?…)
明日から節分の時期でまた忙しくなります………毎年恒例、嫌だな〜〜〜〜〜;;;
15.1.31