…あーぁ、お昼食べ過ぎちゃったなぁ…。と、まだ重たいお弁当を見つめる。
授業がある平日の昼に机の上で広げて食べていたお弁当を珍しく残してしまった。しかも手につけていない状態で全部だ。
全く烈くんが「超美味い学食があるからそこで食わねぇと一生味わえねぇぞ!」なんて強引に誘わなかったらこんな事には…。
と、先々に帰ってしまった烈くんを恨む。…まぁ、その美味しい物の魅力とボリュームと、奢ってくれるという誘惑に負けた
私も悪いけれど。放課後になっても満腹のまま未だに凹んでくれないお腹を押さえながら廊下を歩き彷徨っていた。
見ても食べる気が全く出ないこのお弁当をどうしようか悩みながら。解決しなければ家に易易と帰る訳には行かない。
朝方にピンクの布で丁寧に包んだままのお弁当から早く食べて欲しいという催促のオーラが私にじわじわと伝わる。
それが出来たら勿論してあげたいけれど、何せこんなお腹の調子だ。これ以上入れたらはち切れてしまいそうだ。
今夜はせっかくお母さんが久しぶりに腕によりをかけて作るハンバーグなのに。
かと言って捨てるなんてそれこそお弁当が可哀想すぎるし、残したまま持って帰るとお母さんとお姉ちゃんにひどく怒られてしまう。
どうしよう。何か良い対処法は無いものか、とあれこれ悩み果てていた時。
「あら、
じゃない!」
活発な声が廊下に響き渡り前方に顔を上げるとピンク色の長い髪をふわりとさせた一人の美女さん。
一瞬どちら様かと思ったけれど、よく見たらその人は私の知っている人で驚いた。
「スミレちゃん!今日は珍しく学園に来てたの?」
「私だってちゃんと来る時は来るわよ。あなたが知らないだけ」
私達とは別のクラスのたまにしか顔を見かけないスミレちゃん。彼女なりのとある事情があるため、
制服姿のスミレちゃんを見るのは滅多になかった。確か宇宙の平和を乱すお仕事とか。よく分からないけど、そういったもの。
モデルさんのようにツカツカとこっちに歩いてくる姿は大人っぽくてかっこ良かったので
それがすごく羨ましくて、なんとなく悔しい。私の前に立ち止まると持っていたお弁当に視線を落としていた。
「今から遅いお昼ご飯?」
「あ、違うの、実は…」
学食をたくさん食べ過ぎちゃったの、なんてさすがに恥ずかしいから言いたくなかったけど食欲がないから、と言って
心配されたら困っちゃうし他にいい理由が浮かばなかったので正直に話してしまった。
けれどスミレちゃんは決して笑いもせずに「ふーん」と納得すると、
「じゃあそれ、これから仕事へ向かう私への差し入れって訳ね!」
「え、え?」
「そのお弁当、私にちょうだい!」
「わ、食べてくれるの!?」
助かった、という気持ちで私もお弁当も嬉しかった。さすがに廊下に座り込んで食べるのは先生に見つかり怒られるので
私とスミレちゃんは揃って誰もいない教室に入っていった。スミレちゃんが適当に席に座り、私はその前の席に座る。
お弁当箱の蓋を開けて中身を見た瞬間、目をキラキラと輝かせた。その喜びようと言ったら
よっぽどお腹が空いていたんだろう。ちょうど良かった。私は安心してお箸を手に取るスミレちゃんを見る。
「すごいっ、これ、本当に
が作ったの?」
「えへへ、趣味なんだ」
「へぇ、噂は本当なのね。私、
のお弁当食べてみたいなって興味あったのよ。」
毎日だと作るのが大変なので時々だけど、もう一人分のお弁当を作って烈くん達の内の誰かに食べさせてあげる事がある。
それが別のクラス中に知られるなんて、と気恥ずかしくなってしまう。いつか知らない別のクラスの人に予約されたら
何となく嬉しいような私が大変のような。パクリ、と玉子焼を口に運んだスミレちゃんは「美味しい!」と嬉しげに声を上げてくれた。
「本当?良かった。」
「美味しいだけじゃなくて、出来栄えもなかなかよ。」
「そ、そうかなっ??」
「えぇ、日々精進すること。これが大切ね。
、きっといいお嫁さんになれるわよ。」
「そ、そんな…////」
「日々精進」、かぁ…。スミレちゃんがその言葉を使うと、すごく似合っていてかっこいいなぁ、と惚れ惚れしてしまう。
お料理をしてそうなスミレちゃんからケチをつけられるんじゃないか、と心配になったけど逆に褒められっぱなしで
嬉しくて照れ笑いをすることしか出来なかった。お料理はしないの?と何となく聞いてみたら
「忙しい身だからこんな凝ったものは作らないわよ、サンドイッチとか簡単なものなら作れるけど。」と
お弁当の中身を綺麗に食べながらそう答えてくれた。そうだ、噂で聞いたけれど、スミレちゃんにはせっかく優しくて
可愛い彼氏さんがいるのだから、
「じゃあスミレちゃんに時間が出来たら、お弁当作り教えてあげるよ!」
「そうね、教えていただこうかしらね。」
その後もしばらくの談笑が教室内に渡る。話題はそこまで広くなかったけど、なかなかまともに会えない関係だったスミレちゃんと
こんなにお話できてまさに貴重な時間だった。そして仕事の時間が来たのかすっくと席から立ち上がったスミレちゃん。
残さず丁寧に食べてくれたお弁当箱を片手に持って。
「さてと、私はそろそろ向かうからね。」
「あの、それ、」
「いいのよ、お弁当箱はちゃんと洗って返すから」
「あ、ありがとうっ…。」
「ううんお礼を言いたいのはこっちよ。ごちそう様、
のお弁当とても美味しかったわ。」
「え、えへへ、どういたしましてっ!あの、スミレちゃん!」
「何?」
「今度時間あったら、一緒に何処か遊びに行こうねっ!」
「えぇ、約束するわ。」
「お仕事、頑張ってね!」
「えぇ。」
私にウインクをするとくるりと背を向け颯爽と廊下を歩いていったスミレちゃん。動作一つ一つが
あぁやっぱりかっこいいなぁって思わず見とれてしまう。今度会った時お弁当を食べてくれたお礼に、
学食や美味しいケーキを奢ってあげよう。
そう約束しながら今日も仕事に向かうスミレちゃんの背中に、見えなくなるまでずっと手を振っていた。
-end-
★ラピストリアのスミレちゃん、またも衣装も髪型もかっこよくなってますね(*´∀`*)
いやあポップン、1作目から今まではシンプルでポップポップな絵だったのにあんなにイケメンばかりの美しいポップンになっちゃって、、、
1年ごとにポップンはどんどん進化しているなぁと思います。もうしまとか、キャプテンスーパーポップとか出てた頃が
懐かしいですね(笑)ポップンよ、私は去年の2月の悩みや苦しみを乗り越えてきたからどんな内容だろうが絵柄だろうが、
ぜってぇービビらないぜ!!!!!多分っっっ!!!!(多分!?)
最近サウンドノベルゲームを聞いてそれを参考にしながら書いています。文章力をup&働かせてくれるから本当に助かります。。。ヽ(´▽`)/
実際サウンドノベルもRPGと違って想像が掻き立てられるから大好きですけど♪
ポップンのほかの皆様の素敵すぎる夢小説を参考にしてもいいんですけどね、萌えてハマってしまうから、、、(あ”ぁ!?)
あぁこれ書いたらお弁当が食べたくなりました。。。勿論コンビニ弁当の方じゃなくて、(笑)
やっぱり手作りですよね♪愛情がぶち込んでいて、だからこそ美味しく感じられるのでしょうか
15.1.5