スギくんのお誕生日記念で、旅行の話がリエちゃん達から持ちかけられた。勿論私も参加する事になっている。
よくよく訪れる喫茶店や4人の内の誰かの家のテーブルの上に広げられた、あらゆる旅行会社から貰ってきた沢山のパンフレット。
その中には外国の物も混ざっていて、きっと願望だろうと思ったらリエちゃんは実際にフランスに行ったことがあるらしくて
凄い、と尊敬してしまった。「今度連れてってあげるね!」のお誘いは非常に嬉しかった、当然喜んで行きたい。
いつ頃になるか分からないけど。


目的は私の前々から行きたかった場所で異議はないけれど、これが完全に二人っきりのロマンチックな旅行だったら
どんなに胸が踊るだろうと思う。それもスギくんと一緒なら。私達は出会ってからいつも当たり前のようにグループ一緒だから
憧れのスギくんと二人だけなんて機会は滅多に無かった。楽しみの反面、ちょっと残念だな、という気持ちが
日が近くになるにつれてだんだん大きくなっていく。それが顔に出てしまったら、せっかく旅行の計画を立ててくれたリエちゃん達に
非常に申し訳が立たない。いつもの通り5人グループの3泊4日の楽しい旅行を心待ちにした。





お風呂から上がって自室に戻ったら、携帯電話のランプが点滅している。しかも3件もの着信履歴。
こんな夜に一体誰なんだろうと訝しげに開き、その名前を見た瞬間心臓が飛び上がった。スギくんからだった。
まだ濡れて乾かしていない髪はそのまま放置してその番号に慌ててかける。すると私からの連絡を待っていたのか
呼び出し音が一回鳴って、すぐにスギくんの声が聞こえた。



『もしもし』

「あっ、ス、スギくん?」

『あ、 。何回も電話したのに出てくれないからさ、心配しちゃったよ。」

「ご、ごめんね、お風呂に入ってたの。」

『そうだったんだ。女の子のお風呂タイムを邪魔しちゃったみたいで悪かったね。」

「あはは、いいよ別に。そ、それより本当に、スギくん?レ、レオくんじゃないよね??」

『なんで を騙すような真似をしなくちゃいけないのさ。まぁ僕らは似てるから無理もないけどさ。』



スギくんの呆れたような笑い声が鼓膜を震わせる。言われた通り、スギくんとレオくんは区別がつかない程ではないけど
遠くから見れば双子なんじゃないかと間違われるぐらい似ているので初対面の私でも困惑したことはあった。
けど二人の電話番号はそれぞれ全く違うしそれぞれの家に居る時間帯だから、うん、間違いない。スギくんの声だ、と
確信した。けどスギくんから私に電話してくれるなんて珍しくって逆に嬉しかった。思わずベッドの上で正座して必死に耳を傾ける私。



『もうすぐ旅行、楽しみだね。』

「う、うん。そうだね」

『…に、しては全然浮かない顔をしていたよね。具合でも悪いの?それで気になって電話しちゃってさ。』

「えっ、い、いや、別に、そんなっ…』



まさか本当に顔に出て、それがスギくんに見透かされてしまったんだろうか。自分の今まで抱えていた本心を伝えて
スギくんを困らせてしまってはいけない。何とかいい答えは無いものか、と頭の中で探している内に『あ、分かった』と
考えを遮られた。



『今回の旅行リエちゃん達は行かないからそれで寂しがっているんでしょ?』

「えっ!?」

『あれ? は聞いていなかったっけ?』



何それ、初耳…!と驚いて目をぱっと見開いた。寂しいどころか、むしろ逆の気持ちだった。
もう一度慌ててベッドに座り直し、心に沸々と沸き立つ高揚感が表に出さないように気をつけながら冷静を装って詳しく聞いてみる。



「なんで?だって、あんなに楽しそうに計画していたのに」

『リエちゃん達は僕達二人の為に日程やホテルの予約を取ってくれただけで同行はしないよ。あとは空港で
旅行を楽しみに行く僕達を見送るだけ。』



嬉しさと焦りで一杯だった。私がスギくんが好きだ、という事を何時の日かリエちゃん達に漏らした記憶はある。
まさかそんな私の為にこの旅行を…?電話の向こうで黙ってしまった私に心配を含んだスギくんの声が聞こえた。



『大丈夫 ?もしかして不満だったとか?』

「うっ、ううん、とんでもないよっ!凄く…嬉しいっ!」

『あはは、君は嬉しくても僕は緊張しちゃうよ。だって と初めての二人っきりの旅行なんだから、恥ずかしいよ。』



3泊4日なんてとても長い。つまりスギくんを独り占めできる時間も長いし、いくらでもあるという事だ。そう思うと
当日が待ちきれなくて待ちきれなくてこれからの夜も眠れない。すると私のそんな興奮が読み取れたのか
『夜はちゃんと眠るようにね。』と爽やかに突っ込まれたけど。



『じゃあね 。また空港で。楽しみに待ってる。』

「うん!」



ピッと電話が切れる。旅行の楽しみがまた一つ増えた。それも大好きなスギくんと一緒にいられるという、幸せな時が。
空港で合流したら夢のような時間や計画を立ててくれたリエちゃん達にありがとうって伝えよう。
そしてスギくんにお誕生日おめでとうと、私の気持ちをいっぱい、いっぱい伝えよう。
そう決心した時、準備の為に荷物をスーツケースに詰め込む作業が手早かった。



-end-






★「わしはポップンの夢小説を集めている夢小説王という者じゃ」

「ほほう、夢小説をたくさん書いてきたか。どれどれわしが預かろう」

「ふむ、これまでお前が書いてきた夢小説は全部で50話じゃな」

「よし、50話を書いたという事で、お前にイラストの上達法を授けよう!」

…なんて無いかなぁ〜〜〜〜〜。そしたら書く気満々なのに(この野郎)あぁこれ書いたら旅行に行きたくなりました…
去年はいっぱい行けて良かったなぁ……orzリエちゃんでも良かったけど、やっぱり私は可憐な乙m……ごほん;;;
スギくんが浮かんだので忘れん内に早くも書き上げました☆やっぱり思い浮かんだら真っ先に書くべきですね( ̄▽ ̄)
…3月なのに1月に書くってwwwっていうか3月の時点で50話突破なのかどぉか分かりませんが;;;



15.1.16