━━━━ずっと、ずっと独りだった。



お前に会うまでは。



そっと優しく手を差し伸べてくれて



初めて恋をし、愛を知り、お前を守ると誓ったんだ。



けどいつしかお前は・・・俺をゴミのように捨てた。裏切った。



・・・こんな世界も・・・・・・人間も・・・・・・何もかも・・・・・・信じない。



何のために生きるのか分からない。・・・・・・・・・何もかも・・・・・・嫌いだ・・・・・・自分も・・・・・・。



彷徨う長い、長い孤独と絶望の暗黒の中。再び現れた。



” 貴女 ”という一筋の光が━━━━




「嘘、偽りの世界で・・・生きる」







「・・・ずいぶん長風呂してしまった」




東京都内。夜のホテルの浴室。鏡を睨みながら俺は体中の汗をタオルで拭っていた。
・・・もうどれだけの時間が経ったのだろうか。あれだけ湯気が立っていた湯はすっかり
冷めてしまっていた。


・・・一人だと色々と考え込んでしまう。忌まわしい過去の事など・・・・・・・・・全部。
・・・くっきりと残っている左の首筋の生々しい傷。それを髪でなんとかごまかした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


先に風呂に入って上がった彼女はもう寝てしまったのだろうか。だいぶ待たせてしまって悪いような気がした。
黒のスーツに簡単に着替えながら浴室の戸を開ける。


━━━━ガチャ。


「あら、ロミ夫さん。随分長いことお風呂に入っていたのね。」


・・・」

俺の恋人・はソファーの上に座りながら俺が上がってくるのを待ってくれていた。
ニッコリと微笑みながら。

「先に、寝てれば良かったのに。」

「ううん、こうしてロミ夫さんと一緒にいられるんですもの。いっぱいお話ししたくて。」

「・・・そっか。」

それだけでも嬉しかった。俺は微笑み返す。

「喉、乾いたでしょ?お酒飲む?」

「あ、いや・・・お茶でいい。」

「あら?珍しい。いつもならワインって言うのに。」

「いつもしょっちゅう飲むとは限らないよ。」

「そう?はい、お茶ね。」

「あぁ、ありがと。」


・・・・・・今日は何となく酒を飲む気なんてなれない。・・・の淹れてくれたグラスのお茶に
口付けながらソファーに腰を降ろした。冷たくて美味しい。
実はをこの部屋に招待した理由がある。


「・・・そうだ。外、見てみろよ。」

「え?もうそろそろいい?」

「あぁ。」

がソファーから立ち上がり、カーテンを開けた瞬間。━━━━



宝石のように煌く、美しい夜景が部屋一面に広がる。の瞳を輝かせた。



「・・・っ・・・わぁっ・・・綺麗っ・・・」

「そうだろ?」

俺はお茶の入ったグラスを片手にゆっくりとの隣に来る。

「風景が綺麗に見える部屋を選んだんだ。・・・お前のためにな。」

「すごい・・・あっ、あれはスカイツリー!」


2年前に建てられたスカイツリーが幻想的な光を発している。夜になると一変する
東京の美しき夜景。もちろんスカイツリーもにとっては初めてだ。俺は仕事帰りなどですっかり
見慣れてしまったが。は初めて見る風景に口に手を当て、しばらく見入っていた。

「・・・素敵っ・・・・・・。ロミ夫さんって色んな素敵な所、何でも知ってるのね。」

「まぁな。」

「ふふっ、今まで見てきた中で最高に綺麗よ。ありがとう、こんな素敵な場所、
ご招待してくださって。」

「・・・・・・こんな夜景より・・・・・・・・・。」

「ん?」

「・・・いや、なんでもない。」


の方が綺麗だよ」・・・なんて言葉はいらない。言わなくてもは十分
・・・綺麗だから。俺の心を・・・酔わせるくらいに。・・・


・・・」


・・・・・・今までダメだ、と自分に禁じてきたけれど何だか・・・せずにはいられなかった。俺は初めて
の肩に静かにそっと・・・手をかけた。彼女は一瞬だけピクっとなったが、そのまま身を委ねるように
俺の首筋にゆっくりともたれる。煌く、輝かしい夜景を二人、寄り添って眺める。

俺の間近に
の綺麗な姿。彼女の髪から風呂上がりの良い香りが伝わってくる。
髪の分け目から覗いている、樹里亜の白く、丸い額。・・・・・・俺はなるべく気づかれない程度に
の額にこっそりと・・・小さくキスを落とした。


━━━━チュッ。


「・・・・・・ロミ夫さん・・・?」

「・・・ごめん、何でも・・・ないんだ。」

「・・・ふふふ。・・・変な人っ・・・。」

・・・俺は黙って苦笑する。
の白い肩をぎゅっと抱きしめて何気なく夜景を見つめる・・・





━━━━・・・あの頃の情景が・・・思い出される。あの時も・・・こうして二人寄り添って・・・・・・

綺麗な夜景を・・・・・・・・・眺めていた。━━━━





「・・・・・・なんだか映画のワンシーンみたいで・・・とてもロマンチックね・・・。」

「あぁ。」

「明日、あのスカイツリーに登るのね。ロミ夫さんも初めて?」

「初めてだ。」

「ふふふっ、他にもどんなところに連れて行ってくれるのかすっごく楽しみっ。
夜、眠れないくらいよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・あぁ。」




・・・・・・・・・・・・・。



は俺に向かって無邪気に笑いかける。その笑顔が俺にとって、とても寂しく見えて
・・・その分愛おしく見えた。・・・・・・ダメだ・・・。上手く、会話が続かない。無理に喋っても言葉少なになってしまう・・・。

最近の俺はを見るとこうだ。・・・いや、出会った時から・・・ずっと・・・・・・そうだ・・・。
俺はうっとりと夜景を見るを黙ってじっ・・・と見つめていた。



・・・こうして間近でもっと見つめていたい・・・。夜景よりも・・・・・・お前を・・・・・・ずっと・・・。



「・・・・・・ロミ夫さん、どうしたの?大丈夫?」


俺の異変に気づいたが俺の顔を丸い瞳で心配そうにじっと見上げてきた。

「・・・Σム、な、何が、だ??」

の声にハッと現実に戻ってきた俺は心配を見せないように慌てて笑顔を作って見せた。

「・・・・・・・・・ロミ夫さん最近おかしいね」

「え”っっっ;;;」

は敏感なところが多い。これには正直、さすがの俺も頭が上がらないぐらいいつも尊敬してしまう。・・・そりゃ自分でもおかしい所は多いが・・・
に二度も「おかしい」と言われると・・・ショックだ。

「・・・ロミ夫さんよく黙ってることが多いし・・・私の顔見てぼーっとしてたり・・・それに今日、・・・。」

は少し恥ずかしながらも肩を置いている俺の手にそっと・・・自分の手を重ねた。

「・・・・・・こうして、私の肩を抱いてくれるし・・・・・・キス・・・・・・・・・して・・・くれたり・・・・・・。
特に今日だって・・・もっとおかしいわよ??」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。。。。////」

・・・・・・もう
に言われるがままだった。終始無言でいるしか・・・出来ない。


・・・それでもは優しく、嬉しそうにクスッと笑ってくれていた。とても幸せそうな笑みで。見るたびに、俺の心臓は
ますます鼓動が高くなっていく。顔は触れなくても分かるくらい、・・・情けないほど紅潮させていた。

「・・・い、いや別に・・・・・・どうってこと、ないさ・・・・・・。」

「うーそ。ロミ夫さんの最近見つけた趣味、でしょっ?」

「Σな”っっっ・・・そ、そんな変な趣味があってたまるかよっ・・・;;;人を変人みたいに言うなよなっ・・・」

「ふふふっ、貴方ってからかうと反応がすごく面白いんだからっ。飽きないぐらいよっ。」

「おいおい・・・あまり度が過ぎるとさすがの俺でも怒るぞ;;;」

「あら、女の子は大事にしなくちゃダメなんじゃないのっ?貴方の仕事でしょっ?」

得意げにそれを言う
。そこまで言われると次に返す言葉が・・・浮かばない。

「くっ;;・・・・・・なんか、ムカつくな・・・・・・・・・・・・・。;;;」

「あはははっ」







━━━━その笑顔を見た瞬間、
がある一人の女性の面影と・・・重なった。━━━━







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



あぁ・・・・・・お前の子供のような可愛らしい笑顔。俺の心や体を酔わせてしまうぐらいの美しい・・・笑顔。
・・・・・・愛おしさがこみ上げてきて・・・堪らない。その笑顔を・・・・・・独占したい・・・。
強く・・・抱きしめてやりたい・・・。その愛らしい唇を・・・奪ってしまいたい・・・。この気持ち、もう・・・抑えきれない。力が抜け、既に空になったグラスが
手からするりと滑り落ちる。そして・・・・・・愛おしい・・・ ”彼女” の名を呼んだ。


━━━━カラン。


「!ロミ夫さん落として」


「・・・リナ・・・」


「え?・・・」


「サブリナ・・・」


「ロミ夫さん・・・?」































━━━━「好きだ」













彼女の肩を強く抱き寄せ、美しい夜景を背景に、桃色のような小さな唇に
━━━━静かに唇を重ねた。



「━━━━!・・・・・・」



・・・・・・・・・数秒後、静かに唇を離す。彼女の頬はリンゴのように紅く染めていた。

「・・・・・・・・・ロ、・・・・・・ミ夫・・・・・・さん・・・・・・?」

「・・・・・・・。」

俺は黙って真っ直ぐ・・・彼女を見つめる。

「・・・どうしたの、急に・・・ ・・・酔った・・・?」

「・・・酔ってない。」

「・・・っ・・・・・・・・・。」

「酒・・・・・・飲んでなかっただろ。」

「ロミ夫さ・・・んふっ・・・」


再び彼女の唇を奪う。彼女を拘束するかのように腰に手を回し、白く小さな手首を鷲掴みにする。そして手のひらへと移動し、
華奢な指を絡ませた。キスの音が静かな部屋内に響く。舌を彼女の口内にゆっくりと滑り込ませる。同時に彼女の体が
ぴくんっと反応を起こし、「あっ」と小さく声を上げた。

「・・・っ・・・・・・・・・んっ・・・・・・んぅっ・・・・・・・・・はぁっ・・・・・・んっっ・・・ロミ夫っ・・・・・・さんっっ・・・・・・」

「・・・っ・・・サブリナ・・・・・・・・・。」

・・・いけないと思いながらも俺の手が勝手に彼女欲しさに走らす。舌を絡ませたり、吸い上げたりを繰り返しながら
彼女の綺麗に伸びた脚にそっと触れる。スカートをゆっくりとたくし上げると綺麗な肌が直に感じられる。愛撫を繰り返し始めた。

「・・・っっ・・・・・・んんっっ・・・・・・あっっ・・・・・・・・んっっ・・・やっ・・・・・・・・・ロミ夫っっ・・・・・・さ・・・・・・」

彼女の両腕が俺の首筋に静かに回される。それに応えるように彼女の体を力強く、抱き締めた。

「・・・・・・・・・大好きだ・・・・・・・・サブリナっっ・・・・・・。」

その色っぽい声・・・・・・もっと聞かせて欲しい・・・。聞いただけで俺をますます興奮させる。・・・・・・もう誘惑に勝てない。
彼女の唇を奪いながら持ち上げるように抱き抱えるとそのまま━━━━

































「━━━━ミ夫さん・・・ロミ夫さん・・・?」






「━━━━!・・・」

ハッと我に返る。気が付いて見ると・・・

「・・・私・・・その・・・サブリナ・・・じゃないよ・・・?」

「・・・・・・っ・・・・・・!・・・・・・」

「・・・っ・・・は・・・恥ずかしいよ・・・ロミ夫さん・・・・・・・・」



目の前にの顔がある。俺はソファーの上でを押し倒していた。彼女の服が、・・・はだけていた。



まずい・・・、と思ったが既に遅かった。顔を真っ赤に燃やし、一刻も早くから離れたかったが
体が・・・言う事を聞かない。まるで金縛りにあったように動けなかった。しばらく無言のまま見つめ合う・・・
心臓の鼓動が止まらない。
はただぽかんと俺の顔を見つめていた。


「・・・っ・・・す、・・・すまないっっ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・けど・・・俺・・・」



━━━━ぎゅっ・・・。




は俺に向かって腕を伸ばすと・・・優しく抱きしめてきた。 
 

「・・・・・・・・え・・・・・・?」

「・・・・・・寂しかったのね・・・」

の声が耳元に囁く。

「・・・・・・・・・・・・・・・?」

「・・・・・・今までずっと・・・・・・ずっと、寂しかったんだね・・・・・・。」

「・・・っ・・・・・・!」

ぎゅっと強く、俺を抱きしめてくる。

・・・?何・・・・・・言って・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ロミ夫さん、私、・・・・・・もう、知ってるのよ。」

「・・・・・・何がっ・・・・・・・・・?」




「━━━━ロミ夫さんの首の傷。貴方がつけたんでしょ?」





「・・・・・・・っ・・・!!!!!!!!・・・・・・」


次の瞬間、俺は反射的にの元から離れた。首筋を慌てて隠す。触れた瞬間━━━━あの激しい痛みが蘇ってきた。は体を起こすと俺をじっと見つめていた。
その表情は・・・とても悲しい表情だった。

「・・・・・・っ・・・な、・・・なんでっ・・・・・・・・・・・・」

無意識に足が一歩、一歩と後ずさってしまう。

「・・・サブリナさんに捨てられて・・・自分から・・・・・・死のうと・・・・・・したんでしょ・・・・・・?」

「・・・っ・・・・・・・・・どっ・・・どう、してっっ・・・・・・・・・・・・」


こんな事・・・・・・・・・誰にも話したくなかった。ましてやにも・・・絶対喋りたくなかった。誰にも・・・二度と話さないと自分に誓った。
それなのにっ・・・・・何故っ・・・お前がっっ・・・
俺はカッとなり、これは自分なのかと思うほど・・・取り乱してしまった。

「なっ・・・・・・なんで、 が知ってるんだよっっ!!!!!いつっ、どこでっ・・・・・・・・・・!!!」

「・・・ロミ夫さんっっ・・・・・・。」

俺を落ち着かせようと
は俺の手にそっと優しく触れる。反射的にその手を・・・振り払ってしまった。

「・・・・・・っ・・・・・・・・・誰からっ・・・・・・・・・聞いたんだっっ・・・・・・そんな事っっ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・。DTOさんが・・・話してくれたの。」

「・・・!!!・・・・・・・・」

・・・幼馴染の名前である。あいつは偶然俺の家に遊びに来て、俺が出血多量で倒れていた所を発見して・・・・・・
・・・今、こうして無事に生きているんだ。もし、修が来てくれなかったら今頃俺は・・・確実にこの世にいなかった。



━━━━人は平然と自分を偽り、平然と自分の都合のいいように人を利用し、最後にはいらないゴミのように・・・捨てていく。平然と。
そんな偽りや裏切りで成り立っているこんな世の中・・・・・・。どうして・・・・・・・・・人は簡単に、平気で・・・・・・騙して・・・・・・
平気で・・・・・・裏切って、生けるのか・・・・・・・・・?愛すべき人を・・・・・・愛しては・・・・・・いけないのかっっ・・・・・・?


・・・・・・いつの時代もそうだ・・・。どんな完璧な人間だって・・・・・・みんな、みんなそうだっっ・・・・・・。皆同じだ。・・・
人はいつか、必ず、裏切るんだっっ・・・・・・。大切な人だとしても・・・・・・冷めたようにいつしか捨てていく。そんな理不尽な世の中。
それを初めて知った今・・・一生懸命生きたって・・・・・・何のっ・・・・・・利益がある・・・・・・?
結局はみんな・・・自分の為だけに生きているじゃないかっっ・・・・・・。一体・・・・・・誰を・・・・・・信じて生けばいいんだよっっ・・・。
分からない。分からないっ・・・。分からないっっ・・・・・・。



俺が強くなかったせいで・・・・・・サブリナを守ってやれなかった自分も嫌いだ。こんな世界も・・・全部、全部嫌いだ・・・。
だから・・・・・・俺はっっっ・・・・・・・・・。


・・・あの頃の絶望が、蘇る。━━━━





「あいつっっ・・・・・誰にも話すなって・・・あれほど・・・・・・言ったのにっっ・・・・・・・・・・!!!!」

「ううん、DTOさんは悪くないのっ・・・彼を責めないで。・・・私が無理に聞いてみたの。貴方がいつも暗く、寂しそうな顔をしていたから・・・
どうしても・・・気になって・・・・・・・・・」

「・・・っっ・・・お前っっっ・・・喋らせたのかっ・・・修にっっっ・・・・・・・・!!!!」

「・・・ごめんなさいっ・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・っ・・・・・・・・。」

「・・・本当はこんな事・・・・・・聞きたくなかったしっっ・・・・・・話したくなかったのっ・・・・・・。けど・・・・・・・・・
・・・・・・どうして・・・・・・?」

「・・・・・・『どうして』・・・・・・?」

「・・・そんな辛く、悲しい過去があるのならっ・・・・・・どうして・・・・・・今まで・・・・・・黙っていたのっ・・・・・・? 
なんでっ・・・・・・誰にも話しちゃいけなかったのっっ・・・・・・?私がっっ・・・・・・いるのにっっ・・・・・・・・・
・・・・・・・・・どうしてっっっ・・・・・・!!??」


「(・・・・・・・・・えっ・・・・・・?)」

・・・が・・・?



「・・・・・・っ・・・・・もし、私がこの事を知っていなかったらっ・・・どうするつもりだったの・・・?これから先、そうやってずっと・・・、
独りで悩んで・・・、独りで・・・苦しむつもりだったのっ・・・?自分からっっ・・・また、居なくなる・・・・・・
つもり・・・だったのっっっ・・・?
そう・・・・・・なんでしょっっ・・・!?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「・・・・・・・・・・っ・・・・・・・そ、・・・それは・・・・・・・・・・・・・」

「・・・私っっ・・・・・・そんなロミ夫さんなんか見たくないよっっ・・・・・・・・・。いつも笑っているロミ夫さんがもっと・・・もっと見たいし
・・・・・・大好きだよっっっっ・・・・・・!!!!」

「・・・・・・
っ・・・・・・」


俺を見つめる
の目から雫がぽたぽたと流れ落ちている。・・・・・・なみ・・・・・・だ・・・・・・?


俺の為に・・・・・泣いて・・・・・いる・・・のか・・・・・・・・・?


「!・・・・・・」


次の瞬間、
は大粒の涙を零しながら俺の胸に飛び込んできた。背中に両手を回し、俺の衣服を強く引っ張る。
二度と離れたくないと言いたいように・・・ぎゅっと強く、強く抱きしめてきた。彼女の口から小さな嗚咽がこぼれる。
の初めて見せる涙。俺の服を濡らした。


「・・・・・・・・・っ・・・・・・・・貴方がいなくなってしまったらっっ・・・・私っっっ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・ごめん・・・・・・・・・・・・。」

の髪が唇に触れる。肩が小刻みに震えていた。

「・・・お前に・・・心配や負担・・・・・・・・・かけさせたく・・・なかったんだ・・・・・・。だから・・・・・・」

強く、
を抱きしめる。の白い首筋に顔を埋めた。俺の頭を・・・そっと撫でてくれた。

「・・・・・・うん。分かる・・・その気持ち・・・。サブリナさんを失った気持ちは・・・痛いぐらい分かるし・・・・・・
貴方が裏切られた悲しい気持ちも・・・・・・・・・・ひどく分かる。私も・・・・・・・・・裏切られた事が何度かあったから・・・。」

「えっっ・・・・・・・・・?」

お前・・・も・・・?

「・・・・・・でもね・・・ロミ夫さん」


そして
は涙のせいで赤くなってしまった顔を俺に見せると、目を細めてにっこり笑って・・・・・・こう言った。



「貴方は・・・独りじゃないのよ・・・。」



「━━━━!・・・・・・」


・・・サブリナ・・・・・・・・・・・・?━━━━







































━━━━閉ざしていた記憶が鮮明に蘇る。






独りぼっちが慣れてしまった俺に出会ったあの日・・・・・・・・・。
お前は愛おしいその笑顔で・・・初めて俺に声をかけてくれた。戸惑ってしまったけど・・・俺はすぐにお前が大好きになった。

お前がいるおかげで・・・何もかもが新鮮に見えた。輝いて見えた。
毎日が楽しかった。幸せだった。
楽しい事を教えてくれて・・・・・・今生きているこの世界はこんなに美しく、素晴らしいことも教えてくれたのも・・・
全部、お前だった。


「貴方は独りじゃないのよ」


その愛おしい笑顔で・・・そう俺に言ってくれた。お前がかけてくれたその言葉で・・・初めて救われた気がしたんだ。
辛い時、苦しい時、悲しい時、どんな時も・・・。お前はいつも俺の傍に居てくれた。その優しい笑顔を・・・絶やさなかった。
いつも笑っていてくれた。お前がいてくれるおかげで・・・・・・俺は初めて笑うようになり・・・そしてお前が愛おしく思えたんだ。
あの日、夜景を見つめながら・・・『一緒に生よう』と誓った。共に・・・信じ合っていた。この幸せな日々が続くことを。ずっと・・・。



そして・・・知らなかったんだ。お前に・・・捨てられるまでは。この世界は・・・残酷だったことも。━━━━





━━━━・・・・・・・・・全ては・・・・・・嘘の世界だったのか・・・・・・・・・?





宛てられた一通の最後の手紙。同封された写真。嘘だったと言いたいように変わらなく笑顔で笑っているお前の姿。
お前の肩を抱く見知らぬ男。腕に抱かれている小さな子供。


「貴方は独りじゃないのよ」



その、笑顔も・・・俺にかけてくれたあの言葉も・・・・・・愛の誓いも・・・全部、全部・・・・・・・・・

嘘・・・・・・・・・・・・だった・・・・・・のか・・・・・・・・・・・・・・・?



お前に渡したかった、ダイヤモンドの結婚指輪。床に落とした拍子に砕け散る。そして初めて知った・・・絶望。
そのまま崩れ落ち・・・自身で涙を止めることは出来なかった。━━━━











   












━━━━「ロミ夫さん・・・?」



「・・・サブリナ・・・・・・。」


俺は静かに呟くとの頬にそっと触れた。

、だよ?」

クスッと微笑む。

「本当に、似ている・・・・・・・・・。俺がかつて愛した女と・・・お前が・・・・・・。」

「私が?・・・」

彼女がかぁっ・・・と顔を紅く染める。顔も、声も、髪も、唇も。仕草も、そして、笑顔も・・・先ほどの言葉も・・・。
全てがそっくりだった。彼女を見ると・・・・・・・・・全てが懐かしい。だから・・・



こんなにも激しく、・・・・・・お前を愛して・・・しまったんだ。



「お前を初めて見たとき・・・・・俺のもとに帰ってきてくれたんだと思った。」

「・・・・・・。」

「・・・っ・・・会えて・・・・・・・・嬉しかった・・・。」

人前で初めて見せた涙。一滴・・・はらりと零れた。
は愛おしいその笑顔で涙を拭ってくれるように・・・俺の頬を撫でてくれた。

「私も・・・ロミ夫さんみたいな素敵な人に会えて、嬉しいし・・・凄く幸せよ・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

・・・俺も・・・今・・・こうして幸せだ。お前に・・・・・・出会えて。俺を好きでいてくれるお前が・・・いてくれて。
にっこりと微笑み返す。今・・・心の底から初めて笑えた・・・。そんな気がした。
が俺の胸にそっともたれる。


「・・・もし私が・・・サブリナさんに、似てなかったら?」

「変わらなく、お前を愛するよ。」

「ふふっ。嬉しい・・・。」

嬉しいと言ってくれるお前。
は俺の頬にそっと優しくキスをしてくれた。
・・・温かい。あの時、冷え切っていた俺の体を温めてくれるような・・・・・・温かい口づけだった。
・・・そしてあの時と同じように綺麗な夜景を背景に・・・・・・誓った。



「・・・・・・
・・・お前と一緒なら・・・・・・・・・こんな理不尽な世界でも・・・裏切りで成り立つ世界でも・・・
恐くない。二人で共に・・・・・・強く、生きていける。そんな気がするんだ・・・・・・。」


「・・・約束してね。これからも・・・いつまでも・・・ずっと、ずっと・・・かっこいい笑顔のロミ夫さんでいるって・・・
私も貴方と一緒なら・・・乗り越えていける。どんな時も・・・私とロミ夫さん・・・ずっと一緒よ。」


・・・・・・・・・呼び捨てで呼んで欲しい・・・」


「・・・・・・ロミ夫・・・・・・。」


俺と
・・・静かに見つめ合う。そして・・・唇と唇をゆっくりと近づけ合う寸前で囁き合う。


「・・・愛してる・・・
・・・。」

「私もよ。ロミ夫・・・。」



・・・そうだ。何も恐れることはないんだ。お前が傍に・・・いてくれるから・・・。愛してくれるから・・・。

お前を・・・
を・・・・・・この手で必ず・・・守る・・・。約束してみせるから。・・・・・・

あの日と同じように約束のくちづけを長く、長く交わしながら強く強く、抱き締め合った。━━━━


























━━━━「。もっとよく・・・顔見せろよ。」





電球一つだけの寝室。ベッドの上。二人、抱き合いながら眠る。俺の腕の中のは顔を隠し、
体を小さく丸めていた。仄かな光に照らされる綺麗な髪。布団から覗く白い素肌。そんな彼女がとても可愛く見え、
透き通る髪を優しく、愛おしいように撫でた。

「・・・・・・嫌よ・・・・・・恥ずかしいから・・・////」

「気にしなくたっていいんだぜ?お前の寝顔・・・こうして見つめているから。」

「もうっっ・・・・・・。明日寝坊したって起こしてあげないから・・・・・・////」

は頬を紅く染め、クスッと恥ずかしそうに笑っていた。俺も歯を見せて微笑んだ。


。・・・・・・・・・・・・ありがとうな。」

「?・・・なぁに?ロミ夫。」

「・・・・・・お前が俺の昔話を聞いてくれたおかげで・・・わだかまりが溶けたような気がした。修にも礼、言っとくよ。」

「ふふっ。貴方の命の恩人なんだから、お友達大切にしてあげて。よく喧嘩してるところ、見かけるもの。」

「あぁ・・・ ・・・つうか、あいつが喧嘩を売ってくるんだぞ??;;俺は何も言ってないのに」

「ふふふっ、喧嘩をするほど仲がいい、とはこの事ねっ」

「あ、あのなぁ;;;」

「あははっ」



二人に笑顔が訪れる。このまま時間が・・・止まればいい。ずっと・・・この幸せな時間が永遠に続けばいい。
・・・・・・。お前が居てくれれば何もいらない。それだけで・・・最高に・・・幸せなんだ・・・。


俺は誓った。他のホストのように偽りという仮面をつけた、形だけのホストにはなりたくない。お前の為に全てを尽くすだけじゃなく・・・
この先、どんな残酷な運命が待ち構えていても・・・盾となり、守ってみせる。それが嘘も、偽りもない・・・本当の、
真実の愛なんだ。勿論お前に今までかけた言葉も・・・・・・全て、本音なんだ。こんな俺に生きる希望を、光を与えてくれた
最愛の女性・・・
。お前ならきっと・・・・・・信じられる。



お前を心から愛してるという証拠・・・・・・今ここで、見せてもいい。





ゆっくり体を起こすと
の上に覆いかぶさる。彼女は少し驚いたが決して拒否はせず・・・そのまま俺を受け入れてくれた。

「今まで俺を助けてくれた礼がしたい・・・」

「ロミ夫・・・・・・。」

「ありがとうな・・・」

囁くように静かに呟きながら・・・そっと
の体を抱き締めた。そして頬や白い首筋に・・・何度も優しく、
唇を落としていく。

「・・・っ・・・・・・ぁ・・・んっ・・・・・・。」

「・・・・・・っ・・・・・・愛してるよ。
・・・」

「んっ・・・・・・・・・ふ・・・・・・・・・。」

ゆっくりと・・・キスを交わし合う。彼女の体を優しく愛撫しながら深く、深く舌を入れ絡ませあう。吐息と、熱い体温が混ざり合う。

「・・・・・・っ・・・・・・・・はぁっ・・・・・・あっ・・・・・・。」

つなぎ合わせてくれる唾液の糸。ゆっくりと、引かせた。

「・・・ロミ夫っっ・・・愛して・・・るっ・・・・・・。」

「・・・
・・・何年たっても・・・・・・一緒・・・・・・だからな・・・。」

「うん・・・。大好きよ。ロミ夫・・・。」


もう二度と・・・お前を失いたくない。同じ過ちを・・・絶対繰り返させない。繋いでいるこの手を決して離さない。
夜明けが来ても・・・俺と
はいつまでも抱き合い、愛を囁きながら互いを求め合うように愛し合っていた。






━━━━そして共に生きよう。この世界を。二人、手を取り合って。━━━━






-end-





※7/11大幅変更致しました。


★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暴走してもいいですか?あ、おk??

くっ そぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!! (液晶Σばーん)

おまいらどんだけ熱いねんっっっ!!!!!!!!イチャイチャすんじゃ ねぇっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!
どうせなら液晶の前でこれを打っているこの私と代われお姉s(ry



ロミ夫さんの夢小説が無さすぎてカッとなって作った、第一作目です。。。(*´∀`*)しょっぱなからいきなり暗いですな;;;一作目なのに;;;
きっと笑顔で接するロミ夫さんの裏にはきっとあんな過去が、こんな過去があったんだろうなぁ〜と考えていたら(妄想?)
このようなお話になりました。そして甘甘要素をさらにドドンと加えましたがΣどうでしょうかねっっっ!!?(って・・・)
あ”ーーーーーーーーーーマジそこ代わって欲しいわぁ冗談抜きで、それがダメなら間でもええy(おまわりさんこっちです)

・・・・・・・・・べ、別にロミ夫さんに下心があってこのようなLOVE小説を書い たわけじゃないからね//////


タイトルや本編にもありましたとーり、テーマは「嘘」「偽り」・・・・・・まさに今のこの世の中を表しています。物は豊富に溢れ、
私達は何不自由なく毎日生活していますが、果たしてそれは真の平和と呼べるのか・・・・・・。
ひょっとしたらそれは形だけの平和、であって実は知らない「裏」が隠されているのかも・・・・・・・・・・・・。皆様がいつかそれに気づくのは
果たして何年後の事になるのでしょうね・・・・・・。夢小説を通して、mikko.はこれを言いたかったわけであります!!

・・・っていうか暗いですねっっ、どっちみちっっっ。はいっっっ。(ぐはっ;;;)

皆様みたいに難しい文章は書けないし、絵よりも慣れない小説ですが(汗)色んなキャラの夢小説に挑戦してみたいし
増やすつもりです!!ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!!!!
・・・・・・イラスト?あぁ、頑張って描きますよ(棒読み)

そしてこの小説は本日誕生日のロミ夫さんに捧げます(^^♪
4月21日に向けて絵、余裕で間に合わないっっっ!!!ごめんねロミ夫さん!!!!!!!!!!!!!!!!(おいおい・・・)


ロミ夫さんHappy★Birthday!!!!!!!!!!!!!!!!!

14.4.17