夕暮れ染まる帰り道で、数人の盗賊に襲われた。その時に一人の旅装束姿の女性に助けられ、
そして出会った。




「あっ、ありがとうございました、おかげで助かりました。」

「礼には及ばぬ。ここら辺は黄昏時になるとさっきの奴らのように卑しい人間共がよく出没するからな。
道中気をつけると良い。」

「はい、すみません…」

「特に一人は危険だ。私がお前の家まで共に行こう。」

「いいんですか?ありがとうございますっ!」



そして別れ際に「私の名は乱麻だ。」と言い残し、日本刀を携え、颯爽と消えてしまった。
――――聞いたことがある。彼女は、快刀乱麻。
その凛々しくも桜吹雪が似合う姿に、私は心惹かれてしまった。



それから彼女とは、私の働いている茶屋で度々出会うようになり、お互いを話し合える仲となった。














当店自慢の庭園を眺めるように一人ベンチに座っている乱麻さんの姿を今日も見かけた。



「お疲れ様です、乱麻さん。」

。」

「はい、乱麻さんの大好きな串餡団子ですよ。」

「ありがとう。」



盆の上に乗せた湯気が上るほかほかのほうじ茶と餡団子を乱麻さんの手元に丁寧に置く。
この二つは彼女の大好物でここに来てはよく食べてくれる。
串を手に取り、その一つを美味しそうに頬張った。そろそろ春を感じるような心地いい風に乗ってひゅっと棚引く金髪の
ツインテール。何時見ても綺麗な光景だった。
あっという間に平らげてしまった乱麻さんの、串を口にくわえたまま私を真っ直ぐじっと見つめる瞳。
凛と僅かな光を放つその瞳に私は一瞬で魅入られてしまい、思わず盆を持つ手に力を込めた。



「…まさかとは思うが、この団子は が作ったものか?」

「はいっ、そうなんです。」

「そうか。私はこの店の団子が好きでな。…驚いた。どうりでいつ来ても美味いと思った。」

「ふふっ、乱麻さんはお世辞がお上手ですね。」

「いや、本当のことだ。」



そこまで喜んでくれる乱麻さんの為ならいくらでもお団子を作ってあげられる。何度も失敗して何度も挑戦した餡団子。
やがてはお客さんに出せるような立派な餡団子となり、苦労した甲斐があったのと、乱麻さんに褒められた事で何倍も嬉しかった。
その時、乱麻さんの顔を見て笑いが零れてしまった。



「な、何だ?私の顔に、何か付いているのか?」

「えぇ。口元に付いていますよ。あんこが。」

「ム、か、かたじけないっ…。////」



私が指さした箇所を慌てて拭い取る乱麻さん。すぐに照れて恥ずかしくなってしまっている。
いつも凛々しい反面、少し滑稽で可愛らしい一面があるのが私の好きな所だった。



「そうだ乱麻さん。貴女に是非渡したい物があるんです。」

が、私に?」

「ちょっと待ってて下さいね。」



さすがにお客さんに見つかられては後で何て言われるのか分からないので、奥の部屋から大事に慎重に抱えて持ってきた、
新品の日本刀。錆付いて古くなった、と何時しか零した乱麻さんなら喜んでくれる、と思ったら意外。と驚いた顔をされて
私とその日本刀を交互に見比べた。



「… 、怪しまれなかったのか武器屋の親父さんに」

「え、どうしてですか?」

「お前のような可憐な女がこのような物騒なものを買うことなど…許される行為じゃあるまいに」

「ふふ、やっぱりお世辞がお上手ですね。」

「いやいや、本気で心配しているのだぞ。」



そういえばお店に立ち寄ってなかなか重い日本刀を手に取って高いお金を出した時、ご主人さんにも同じことを言われた。
まだ未成年で子供っぽく見える私に、確かに乱麻さんみたいな日本刀を扱えるほどの才能や力は無いし、似合わない。
すぐさまに「知り合いへの贈物なんです。」と言ったらそのご主人さんも安心した。
けれど…乱麻さんに可憐、なんて言葉を使われて照れくさくて何も言えなくなった。
片手で日本刀を軽々と持ってそれを見つめる。



「…まさか、 が本当に買うとはな。」

「あの時助けて下さったお礼と、そして乱麻さんへのお誕生日プレゼントです。」

「…覚えてくれていたのか。私の誕生日を」

「えぇ、当然ですよっ。」

「有り難き幸せに思う。感謝この上ないぞ、 。」



ベンチから立ち上がり、ジャキっと金属音を立てて新たな日本刀を腰に装着する姿がとても様になっていて
格好いい、と思った。我を忘れて見とれていると、声をかけられた。



「お代は、」

「あっ、いりません。今日は乱麻さんの特別な日ですので。」

「本当に良いのかっ?…誠にかたじけない。」



そして傍に置いてあった市女笠を被る。淡い色の垂れ衣から透けて見えた乱麻さんが私にこう言った。



「なぁ、 。」

「はい?」

「今度暖かくなったら、共に花見に行きたいな。」

「はいっ!いつでもここで待っていますからっ!」

「あぁ。楽しみにしているぞ。」



フッと私に微笑みかけた後、私に背を向けこの場を後にした。ひらりと風の如く舞い、消えゆく旅装束。
その幻想的で綺麗な乱麻さんの姿。遠くなるまで私はいつまでも見送った。
再会を、願いながら。




-end-







集中力を高めてくれるBGMを聞きながら書いたら、ホンマに集中力がupして不思 議とアイデアが浮かびますなっっっ…!!!!(*゚▽゚*)
(ただし、小説時による)今度から行き詰まった時にそうしようかしらっ……!!!
はい、何とか無事、これにて今月分のバースデーキャラが書けましたっ…!そして私のハートを一瞬にして斬ってくれた、
ラピストリア初の快刀乱麻さんっ(*´∀`*)彼女も18のせん列に出してもおかしくなかったんじゃないですか???KONAMIさま(*´∀`*)フフ (?”)
桐生くんもそうですけど、彼女の誕生日も近かったので驚きましたΣ(°д°;;;)←こんな顔
あぁよっぽど書いて欲しかったんですね分かりm(ないない)

そして前から思ってたんですけど、どおして最近こう、すかたん打違いが多いのだっっっ……!!!???;;;;;

(※すかたん打違いとは…mikko.用語。他にもすかたん聞き違いやすかたん言い間違いもあるが、大抵は聞き違いが多い。
すかたんという言葉は今や全く聞かない為死語である。ちなみに間違いや見当違い、間抜けなことをした人を罵る言葉としても使われる
意 味でもあり、
日常でも多いmikko.にはまさにうってつけである。(死)早くこんな悪癖を治したいものである。。。)



「街」というゲームみたいに遊び心で解説を付けてみました(笑)ちなみにデフォ名は「あき」と読みます。


15.2.25