いじめがきっかけで引きこもりがちになってしまった私の為に


世界中の楽しいことを毎日教えてくれる、連れて行ってくれる魔法のエンターテイナー・ペロ。


そんな大好きな彼の為に


生まれて初めてバースデーケーキを作ってみたのだ。







もちろん親に教えてもらっていない。学校には当然行っていないので友達と協力して作ったわけでもない。
自分ひとりであれこれ勉強し、色々と学んだ、いわば独学。
ここまで作り上げるのにどれだけ何時間かけたんだろう。プロのケーキ屋さん程では無いけど
何度も失敗しながらも挑戦してみたデコレーションケーキが立派に建っている。
お店で買ったほうが材料費もかからずに早かったけれど、そんな手抜きなことはしたくない。
大好きな彼だからこそ苦労して作り上げた自作のケーキ。早く見せて褒めてもらいたい。


そういえばペロは今年で何歳になるのか知らないし聞いたこともない。とりあえず何本か蝋燭を立てて火を灯した。
こうしておけばひと目でバースデーケーキだってことが分かるだろう。ペロの驚く顔が楽しみだ。
…今日がそんな彼の誕生日だというのに相変わらずやって来るのが遅い。
もうすぐ日付が変わってしまう。大事な日の時に限って、彼はこうだ。



━━━━トンっ。足音が部屋に入る音がした。



ちゃ ん♪」


いつもの明るい声に顔を上げる。いつ彼が入ってもいいように開け放たれた窓から心地いい夜風が吹く中、

満月に青白く照らされた彼━━━━ペロがにこっと私を見つめていた。


「ペロはいつも遅いよね。待ちくたびれちゃったよ」


「君の王子様は早めに来ちゃうより遅れて来た方がベターなんじゃないかな??」


「!



もう少しで顔が赤くなってしまう直前、「なーんてね☆」とペロ特有のてへぺろをされた。…この甘い言葉に

何度も騙されてしまう。っていうか何故私の考えていた事がズバリ当てられるんだろう。。そんな彼もすごいと思った。
そしてテーブルの上にあらかじめ置いていたケーキにすぐに気が付いてくれた。


「美味しそうなケーキだね。今日
ちゃ んの誕生日?」

「………。。。」



正直、ガックシと来た。親にしか祝ってもらってない私の誕生日なんかとっくに過ぎ去っている。



「違うよ。今日ペロのお誕生日だから


「そっっっかぁ〜、もうそんな時期が来たんだ。楽しい事で忙しさが一杯だからすっかり忘れてたよ」



脳天気に頭を掻くペロ。



「このケーキはね、ペロの為に私が作ったの。」



びっくり仰天して私とそのケーキを見比べる。あ、これには流石に驚いたみたい。そして期待通りのこの一言。



「Σうっそマジっ!!??ほんとに君が作ったのっ!?」


「う、うん。結構苦労したんだよ。だから
はい、食べてみてっ!」


テーブルの上に丁寧に置いていたフォークを再度カチャリと置く。誰かの為に一生懸命ケーキを作り、

それを試食してもらうなんて事は初めてだった。しかも好きな人の前で、だから緊張が一層増す。
ペロがフォークのケーキ一口分を口に運ぶ。反応を見るのが怖いため、なるべく見ないように
紅茶を淹れる準備に掛かる。苦い顔されませんように、と心の中で必死に祈りながら。
何も反応がない。しばしの沈黙が流れている。


「何これ、すっごい美味い!!」


「もっ
もう、もうちょっと分かりやすいコメントしてよ。まずかったのかってヒヤヒヤした じゃない;;」

「いやいや言葉を失うぐらい最高に美味しかった!!
ちゃ ん将来有名なパティシエになれるよ絶対!」

「やめてよ、大げさだよっ」
 
「でも初めてだよ、君の手作りを食べるなんて」


「ふふっ、これでも懸命に頑張ってきたんだよ。
ペロ、お誕生日おめでとう。」


まずいと言われなくて安心した。この日の為に四苦八苦してきた甲斐があった。少し恥ずかしいなと思いながらも

精一杯の気持ちを込めたお祝いの言葉。ちゃんと顔を見て言えば良かったのについ俯いてしまった。…時。


「…


「えっ…?」



いつもと違うペロの呼び方に驚いて顔を上げた瞬間、ペロの姿が見えなくなったと思ったら

背中をぎゅうっと抱きしめられた。不意の出来事に戸惑ってしまい、体中に緊張が走った。
頬が当てられる。みるみる体温が上がった。


「ペ、ぺロっ…?」


「ん?別に変なことはしないよ。…
、 ありがとう。」

「…う、ううん、と、当然の行い、だよ」

「あれ? 、 顔が赤くなっちゃってる」

「き…気の、せい」

「今度君の誕生日は盛大なパーティを開いてあげるよ♪いつなの?」


「もう過ぎてる。」


「じゃあ来年だね。」


「うん、楽しみにしてる。約束だからね、ペロ」


「あぁ!ピエロは約束を破らない☆」



嬉しかった。私の背中に大好きな人の温かい体温が包み込んでくれる。このまま、ずっとこうしていたいな。

にっこりと笑いながら、応えるように彼の腕にそっと手を添えた。

…そうだ、この際だから自分の気持ちを…そろそろ伝えたい。



「あ、あのねペロ…その」


「なに?」


「…ううん、何でもないや」


「変な
(く すっ)」



ちゃんと「好き」と伝えられるのは、もう少し先の話し。



-end-





★10月3日(ちなみにmikko.の誕生日です)からまたまた新企画始めました、ポプキャラ’sバ〜スデイ☆夢小説 〜〜〜!!!

(ただし好きキャラに限る★←)

もちろんお題のとーり、夢小説を通してポプキャラのお誕生日をお祝いしようじゃないかという企画です♪

短いし、すぐに終われるしね(貴様)ちなみにお誕生日欄を調べてみたら私の好きキャラの誕生日が既に過ぎてしまっているというorz
やっぱもうちょい1、2年早かったら良かったなぁ〜〜畜生★
来年からですね、絶対書きます からねっっっ!!!!!あーやることが多すぎていい意味で忙しいわ☆←

できる限り、日々更新する予定です☆どんなキャラかは…まぁお楽しみという事で。(*´∀`*)


※色々トラブルが多々あって更新が予定より遅くなりました。。。次からは気をつけます(死)

14.10.6