━━━━満月が雲間から覗かせている闇夜。
こっそり君の部屋に足を運ぶ。
眠れない夜が
二人だけの、甘い世界に一変する━━━━
「Sweet Sweet
Night」
「・・・・・・・・・・・・。目が覚めてしまった・・・。。。」
俺たち桃バンド「oni tai Z」メンバーの住む一軒。その一室にて。
ベッドの上で両手を頭に組み、うっすら開いた眼で暗闇の天井を何の気なしにぼ━━━━っと見つめていた。
時を刻む時計の秒針の音だけが小さく鳴り響く。時間がとてつもなく長いような感覚がする。
このままポケーっとして自然と眠りに落ちる瞬間を待っていたけど・・・・・・。
こんだけ体は寝転んでいるのに目が完全にらんらんと冴えてしまい、いつまでたっても睡魔は来てくれるわけがなかった。。
「・・・っ・・・あ”ー、全っっ然、眠れないっっっ・・・;;;」
体をいい加減、ガバッと勢いよく起こし、髪をむしゃくしゃに掻きあげた。そしてひと呼吸、「・・・ふぅ・・=3」と置く。
・・・ところで今何時なんだろう。あれからだいぶ寝たような気がしたから、もう真夜中は過ぎてんだろ・・・。早くて・・・
1時、2時ぐらい??時計にじっと目を凝らして確認・・・
「・・・・・・・・・ぅわっ、まだ日付変わってもないのかよ・・・・・・;;;;;」
ドン引きする俺。未だに・・・・・・22時30分を指していた。すると俺はだいぶ早い時間に寝てしまったんだなぁ・・・
どうりでこんな中途半端な時間に目が覚めちゃったわけだ。。・・・あーぁ、これからどう暇潰そうか。
まいったなぁ・・・・・・。。。
顔を何気なく、天井に向ける。
・・・・・・・・・んん?あれ??そういえば俺・・・どうして先に寝てたんだっけ・・・???
ベッドの上に座り込み、う━━ん。。と過去の出来事を思い出してみる━━━━
━━━━「・・・おい〜、俺の楽しみに取っといたきびだんご、箱ごと無いぞ誰が盗ったんだよぉー、
ウッキーか、ケン!!お前らのどっちかだろ!!または共謀!!??」
「はぁ?そんなの置いてる自体知らねぇぞ、もし知ってたら俺たちさっさと食ってたし」
「・・・さぁな。もとから無かったぞ」
「Σ嘘をつけっっっ!!!知らないとか言って本当はどっかに隠してんだろ!!!俺に食わせないように、わざと!!
ぜっっってぇー犯人はこの手で突き止めてやるっっっ!!!!」
「好物に関してはしつこいぐらい執念深いなワンは。。。だったらキビが犯人じゃねーの?」
「・・・自分で作ったものを自分が食べるわけないだろう。。。腹が空かん限り。」
「全くその通りだよ。そんな子供じみた行為を僕がするとでも思っているのかい??」
「・・・・・・っ・・・・・・うぅぅ〜〜〜おまいら3人揃って〜〜〜〜〜〜・・・・・・(ムカつく・・・)」
「・・・そうだ、僕らじゃないとしたら我らのお姫様なんじゃないのかな?」
「Σあ〜〜〜、ありうるっ!!」
「・・・ついに盗みを働かざるを得なくなったか、あのお姫様も・・・(フッ)」
「Σはぁっ!!?ふざけんなよあの子がそんな泥棒みたいな事するわけ無いだろ、勝手に言うなよ!!
・・・・・・・・・あ”ーーーお前らにマジ信用なくしてしまったよ、もういいっっ!!俺は寝る!!!」━━━━
━━━━・・・と、いうわけだったっけ。。。
「いわば、ふて寝みたいなものだな。。。」
・・・俺たちのためにキビがいつも作ってくれるきびだんご。それを最後のデザートとして食べるのが日課として
欠かさなかった。・・・なのに一体誰が食いやがったんだよ・・・マジでありえねぇ。それで機嫌を悪くしてさっさと寝たんだよな。
・・・キビたちが言っていた『お姫様』。
俺たちバンドに拾われ(と言ってもキビが、だけど)、それ以来色々と身の回りの世話をしてくれる、貴重な
紅一点の存在。しかもその子は・・・・・・眩しいぐらいの美人で、独り占めしたいぐらいの可愛さなのである。
もちろん俺もその子とは親しく話しているが・・・。同じ人間のキビには普通通りだけど、俺たち3人はやはり
半獣人という血を持っているからだろうか、いつも表情が固い感じがするし、強ばっているように見える。
俺からしてみれば、素っ気ない。けど・・・可愛いからついつい、許してしまうんだよなぁ。
・・・・・・あの子・・・・・・まだ、起きてんのかな・・・・・・・・・。
いつも23時ぴったりに寝るから・・・・・・。まだ20分ちょっとある。・・・ラッキー♪
そう思った瞬間、次に出る俺の行動は早かった。ベッドから素早くサッと離れ、扉を開け、真っ暗な自室を出て行った。
廊下を歩いていくと、あとの3人の笑い声が聞こえる。・・・どうせ深夜の面白い番組でも見てんだろ。。。
あいつらもほんとに飽きないなぁ・・・。と思いながらも、あの子の部屋へと続く長い廊下を静かに、
ゆっくりと歩いて行った。━━━━
━━━━こん、こん。
「。起きてんだろ?」
名前を呼びながらあの子の部屋のドアをノックする。その途端、中から何やらドタバタと音がし、俺は思わず「!?」とビビってしまった。
そして慌ただしいあの子の声。
「き、きゃぁっ!!な、何っ、いきなりっ・・・!」
「ど、どうしたの頭でも打ったわけ??;;;入ってい・・・」
「ちょ、ちょっと待って!!す、すぐ開けるからっ・・・!!」
・・・ちょっとノックしただけなのに、どうしてそこまでど派手に驚く必要あるんだろう・・・;;;けど・・・「可愛い。。」思わず吹き出してしまった。
そしてドアが少しだけ開き、ちらりと覗くの顔があった。
「えと・・・なにかご用・・・?」
「さっき凄まじい音がしたけど;大丈夫?なにかあったの?」
「だ、だって、いきなりワンくんが来るからびっくりするじゃないっ・・・。それで・・・どうしたの?」
「あー、いや、さっきまで寝てたんだけど全然眠れなくなってさ〜の部屋にこっそり遊びに来ちゃって」
「そうなんだ。・・・私明日早いから、おやすみ」
と冷たくそう言うとがさっさとドアを閉めようとする。俺は慌てて阻止すると・・・
「Σちょっと待てよ、それだけー??;;;もう、相変わらずつれないんだから〜」
「前の日も10分とか言って結局ダラダラいてくれたじゃない。おかげで私、寝坊してキビさんに怒られたんだからっ。」
「Σあ、あれは悪かったってば〜;;;;決してお前をいぢめるためじゃないんだよ本当にっ!!」
「じゃぁ何?」
が丸い瞳でじ━━━━・・・と俺を見つめてくる(というか睨んでいる)・・・俺はここで今まで言いたくても言えなかった言葉を
少し口ごもりながらも思い切り吐き出した。
「・・・とさ・・・一緒に、居たい、から・・・。」
「!・・・・・・」
・・・おっ、効果抜群?は少し顔を赤らめて俺を見る。・・・ますます可愛い。女の子って男の甘い言葉には弱いものなんだなぁ。
・・・とか言ってる俺も、我ながらめちゃめちゃ恥ずかしい・・・////しばらくの間、沈黙が流れたけどやがて・・・・・・
「・・・・・・・・・じ、じゃぁ私が寝るって言いだしたら・・・・・・そこまでね」
「ありがとっ!!さすが我らの女神さま♪」
心の中で大きくガッツポーズをしながらの部屋へと通された。━━━━
━━━━「・・・なぁーんだ、もう寝巻き姿になってんの?」
「どういう意味?」
「だってさっきドア開けたとき、全部開けずに半分だけ開けてたじゃん?・・・着替え途中だったら超面白かったのにな。(ボソッ)」
「なんか言った??」
「Σいえいえ、なんでもっ?」
・・・やっぱ殺風景の男の部屋と違って女の子の部屋は可愛くて華やかさがあっていいなぁ。。あちこちに
沢山のぬいぐるみが置かれてあっていかにも、だ。心が和む。それに女の子独特の匂いがするし。
もっとよく覚えておこう・・・と部屋中の空気を嗅ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
がちょこんと椅子に腰掛ける。隣のもう一つの椅子。二つあることに少しずるいと思いながらも
「隣、座ってもいい?」と聞いての「どうぞ。」の許可を得てから座り込む。
が小さな手鏡を見つめながら櫛で髪を梳かしている。風呂上りだろう、彼女からほんのりと石鹸のいい香り。
こうして近くでを見れるのはすごく貴重で、まさに夢のようなひと時だ。・・・独り占めだ。
俺は歯を見せ「にしし♪」と笑いながらじ━━━━っと彼女を見つめていた。
「・・・あんまり見ないでよ。落ち着いて出来ないじゃない・・・・・・。」
「え?どうぞって言ったのだろ??」
「そうだけど・・・見ていて、なんて一言もっ・・・・・・。」
「本当は恥ずかしいんだろー?・・・ツンデレさん♪」
「もっ・・・もうっ・・・・・・うるさい・・・////」
「へへへ、ってば見ていていっっつも面白いんだからー♪」
とか言いつつ、の流れるような細くて綺麗な髪に触れようと手を静かに伸ばした時、
それがばれてしまった。
「ダメ触れたら。・・・上がったばかりなのに」
「なんでー?じゃぁ1,2本ぐらいなら」
「ダメって言ったらダメなのっっっ。」
「・・・けち。」
俺は拗ねるように見せたけど彼女はもちろん知らんふり。・・・・・・もう、余計可愛い。
いつも冷たくて、そっけなくて・・・本当は素直になれない所が。全くあとの3人もくだらない番組なんか見てないで
お姫様とこうして甘い時間を過ごしたらいいのになぁ。。。・・・あ、でもそれだと俺が嫉妬してしまうか。
独り占め独り占め♪3人には絶対黙っとこうっと。
・・・無言で髪を丁寧に梳かすをしばらく見つめる。俺は口を開いた。
「・・・ところでさぁ。一体いつになったら俺たちのバンドに入ってくれるの??」
その一言で髪を梳かす動作をピタリと止めた。そして俺の方に「そんなの聞いてねぇぞ」とでも言いたそうな顔をゆっくりと向け・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「いや、『はい?』じゃなくて・・・いつ俺たち桃バンドのボーカルとしてデビューしてくれんのかなぁと思って」
「なっっっ・・・・・・・・・何それっっ!!!??わ、私がっ・・・!?き、聞いてないわよ!!!;;;しかもボーカルってっ・・・!!」
顔をボっと燃やして慌ててそばを離れる。だからそこまで驚かなくても・・・;;;
「俺たち4人いつもその話題で毎日のよーに話してるぜ?お姫様の歌声が聞きたいなぁ〜とか、癒されたいとか・・・
もっちろん俺もそうだけど♪」
「そっ・・・そんな、キビさんやウッキーくんとケンさん、そんな事全然話さなかったわよっっ!!;;;う、歌のうの字も知らないのにっ・・・」
「ほんとにー?が綺麗な鼻声でよく歌いながら家事の仕事してるところ、よくよく見かけるけど??俺あん時、思わず
聞き惚れちゃったよ。・・・・・・・・・本当は歌うのが大好きで俺たちと一緒に歌いたいと思ってんだろ???」
「き・・・・・・聞いてたの?;;ちっっっ・・・違うもんっ・・・わ、私は・・・・・・・・・・・・・・。」
「隠さずに正直に言えよ♪」
恥ずかしそうに俯く。俺はからかうようにニヤニヤしながら見つめ、答えを待つ。
「・・・そ・・・それって・・・・・・強制・・・?」
「Σいや、別に無理にとは言わないよ。の気持ち次第だぜ。」
「本当は俺たちのために歌ってくれる方が万々歳だけど♪」・・・までは言わないでおこ。はしばらくの間
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」と考え込んでいたけどやがて・・・・・・。
「・・・・・・か、・・・・・・・・・・・考えて、おく・・・・・・・・・。」
「マジっっ!!??」
「う、・・・うん、キビさんの歌声、すごくかっこいいなぁってずっと憧れていたから・・・。」
「よくぞ言ったっ!!!!さすが我らの将来の歌姫様っ!!!約束だからな!!★」
「もうっ・・・・・からかわないでよっ・・・・・・」
「いやいや嬉しいよ俺たち!!あーと一緒に演奏できる日がすっっっっごく待ち遠しいなぁ〜〜」
がどんな衣装で、どんな魅力的な歌声で俺たちを、そしてファンの人間たちを魅了させるのか・・・
明日から楽しみで楽しみで仕方ない。俺は椅子に体を伸ばすように座り、のデビュー姿を空想に思い描いていた。
・・・っていうか歌いたいなら歌いたいってもっと早くに言えばよかったのになぁ。。相変わらずなんだから彼女は・・・・・・
そしてが髪を整えながら「さてと。」と呟いた。
「・・・もうそろそろ私、寝なくちゃ。お話の続きは明日ね。」
え”っ・・・もうっっ!!?たった短い間しか話してないのに、早すぎる・・・!!時計を見ると彼女が寝るのに
ちょうどいい時間帯になっていたけど・・・・・・俺は負けじと踏ん張ってみた。
「もう少しいいじゃんか〜あと10分ぐらい」
「だーめっ。言ったでしょ、私が寝るときになったらそこでおしまいって。ワンくんも遅いから早く寝ること。」
「・・・・・・・・・どっちみち俺、眠れないんだけど。。。」
「我慢しなさいっ。もうワンくんったら子供なんだから」
・・・・・・・・・。まるで母親のように、けどどこか子供っぽさがあるような口調で優しく叱りつける。
・・・もう、ますます可愛すぎて堪らない。ここで引き下がりたくないほど・・・が愛おしい。
正直なところ・・・・・・もっと甘えたい。
「・・・このやろ〜、こうなったらハグ攻撃だっっ!!」
ついにやけになり、の胸に顔を埋めるように思いっきり抱きついてやったっ。
━━━━ぎゅうっっ。
「き、きゃっっ!!ちょ、ちょっと、ワ、ワンく・・・!!!」
「・・・・・・・・・一人だと眠れないよ」
「・・・っ・・・・・・。」
「と一緒だと、眠れる、かも」
「・・・そ・・・それって・・・・・・つまり」
「のそばで・・・寝たい。」
「えっっっっ・・・・・・////」
・・・ここまで言ったらもさすがに文句は言わないだろう。顔を見上げるとすでに真っ赤になっているの顔。
そんな恥ずかしそうな顔をするから、・・・ますます愛おしく思えてしまうんだよ。・・・いいじゃん、たまにはこういうのも・・・。
俺のわがまま・・・もっと聞いてよ・・・。
このままの状態でまたしばらく黙ってしまった。そしてついに降参したようにボソリと呟いた。
「・・・・・・・・・も・・・・・・もう、・・・・・・今夜・・・・・・だけだからね。・・・・・・」━━━━
━━━━「へへへ嬉しいよ、頬ずりしていい??♪」
「いいから早く寝なさいよっ・・・あと声が大きいって!バレたらどうすんの!////」
「ごめんごめんって。これな?これ。だからもお口にチャックな」
「・・・普通に言いなさいよ」
人生初の体験だった。憧れのお姫様とベッドのお供。花柄のついたふかふかの布団をそっと持ち上げ、
少し緊張しながらもと一緒のベッドに潜り込む。
・・・ちらりと横を見ると俺と顔を合わせるのがすごく恥ずかしいのか背を向ける。・・・・・・今頃どんな真っ赤っかな顔して
寝てんだろう。回り込んで見てみたい・・・・・・。けどどうせすぐそっぽを向けられるのは目に見えている。
髪の間から覗かせている真っ白く、綺麗な首筋。触れるとまた怒られそうだからこうして間近で見るだけで我慢した。
・・・・・・温かい。しかもお姫様と一緒だから余計温かくて・・・・・・眠くなってしまいそう。・・・もう最高に、幸せだ。
今夜は・・・いい夢が見れそうだなぁ・・・・・・。もう少しで意識が遠くなり、ウトウトしだした寸前━━━━
「・・・・・・ねぇワンくん。」
「Σえ、なにっ!?」
初めて彼女の方から俺に声をかけてきたので目がシャキっと覚めた。思わず有頂天になり、背を向けている彼女を見る。
「ふて寝、しちゃったんだってね」
「へ??・・・・・・・・・・・・・・・Σあ、あぁ!」
の言ってた言葉に一瞬きょとんとなった。・・・いけねいけね、と一緒にいることで夢中になってそれ以前の
出来事を完全に忘れ去ってしまうところだったっ・・・・・・。
「何?もしかして心配してくれてんの??」
「一人いなかったから気になって聞いてみただけ。・・・おやつ食べられただけで怒って寝るなんてまるでお子様みたい」
「Σむ”ぅ・・・。そうなんだよ〜俺の大好きなきびだんご、やっと食べられると思って今日の仕事頑張ってきたのに
箱ごと忽然と消えてたからさ〜、マジおこだよ」
「・・・それは残念だったね」
「Σ今や激おこで残念の言葉も出ねぇよ〜;;きびだんご食いやがった犯人はどこの誰なんだろうなぁ。気になって気になって
安心して眠るどころじゃないよ。・・・・・・あ”ーぁ=3食べたかったのになぁ〜〜〜。。。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・あれれ、がさっきからまともに喋らないぞ。
「ウッキーとケンはもとから食ってないし知らない言ってたし、キビは自分が作ったものを食べるわけないって言ってたし・・・。
あれだけ拒否ってたから、あいつらだとは考えられないわなぁ。5人住んでるんだから・・・・・・
・・・俺たち4人以外のもう一人の仕業なのかな?す━━━━ごく怪しく思ってるんだよなぁ。」
名探偵みたいにぽつぽつと推理しながら「なぁ。」のところで彼女の方をちらりと見る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・表情はもちろん見えない。相変わらずはこっちに背を向けたままでいっこうに顔を見せない。
ただじーっと沈黙を守っているだけだった。
「」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「寝たふりは通用しないぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・何か知ってんだろ?」
「!・・・・・・・・・」
体をピクっとさせた。そしてようやく顔をこっちに向ける。
「・・・・・・・・・どうして?・・・・・・」
「俺がさっきの部屋に入る時、何やらただ事じゃなさそうだったからさ。・・・・・・・・・・・・
・・・・・・絶対何か隠してる音だったろ??」
「隠してないもんっ・・・。」
「本当に???」
「本当だってばっっ!!」
「余計怪しいなぁ。」
「怪しくないもんっ、もうどうでもいいでしょ過去の事は!またキビさんに作ってもらったら済むことじゃないっ・・・」
「ふ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。。。」
「な・・・何よその意味深な呟きはっ・・・・・・。」
「果たしてどうかなぁ????」
「も、もうっ、疑り深い人ねっ・・・」
「じゃぁ確かめてみようっとっ!」
俺はそう言うとの上に勢い良くのしかかった。そしてそのまま━━━━
「きっ、きゃっっ、ちょっ、ワンくん何すっっっ・・・!!んっ・・・んぅっ・・・・・・・・・。」
・・・のマシュマロのような、とても柔らかい唇の感触が伝わる。お姫様との初めての、━━━━キス。
驚くをよそに、彼女の唇を啄むようにゆっくりと自分の唇を動かした。
「・・・んっ・・・んんっ・・・・・・ぅっ・・・・・・。 ・・・・・・・・ワ、・・・ワン・・・くん・・・・・・?」
白い頬に赤みを帯びせ、まんまるい瞳で俺を見つめる。俺もにこっと笑って恥ずかしがっているを見つめ返す。
そっと囁きながら。細く、透き通るような髪をそっと撫でながら。
「・・・・・・。すごく、可愛い・・・。」
「・・・っ・・・・・・・・・。////」
「・・・本当、最高に可愛いよ。・・・。」
「ワンく・・・・・・んふ・・・・・・・・・んっ・・・・・・。」
形の良く、ピンク色の小さな唇
にそっと重ねる。頬に触れると熱があるんじゃないかぐらい、凄く熱い。両手で優しく撫でる。
の口内に静かに、ゆっくりと、舌を挿入した。の体がぴくんっと小さく痙攣した。
「・・・はっ・・・・・・んんっっ・・・・・・・・・・・・だっ・・・・・・めぇっ・・・・・・・・舌・・・・・・いれ、ちゃ・・・・・・・・・。」
「・・・っ・・・・・・俺が・・・・・・本当は・・・・・・欲しい、・・・んだろ・・・?」
「そんなわけっっ・・・・・・・・・・・・・・んぅ・・・・・・・・・はぁっ・・・・・・・・ぅんっっ・・・・・・。」
の口元から出てきた唾液を指で丁寧に拭う。こんなに可愛い声が出せるなんて・・・。・・・やばい、今日の色っぽい。
興奮、してしまうよ・・・・・・・・・。小さな手を握ってやろうと思ったけど、すでに俺の首にの両手が回っていた。
長いキスを繰り返しながらそっと俺を抱きしめてくれる。堪らなく・・・・・・・・・嬉しかった。
「・・・っ・・・・・・ぷはぁ!今日のきびだんご、特別に美味かったぁっ!☆」
「なっっっっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
お姫様と充分キスを味わい、唇をぱっと離す。の顔は火だるまと化し、ボーボーに燃えまくっていた。
「どう俺のキス、気持ち良かった?もっとしてもいいんだぜ?」
「もっっっっ・・・・・・・・・う、バカぁっっっっ!!!!!!!////」
「夜食として食ったばかりだったろ??しかも全部。」
「うっっ・・・・・・・・・・・・。」
・・・やっぱり思ったとおりだった。目がすげぇ泳いでいる。そして言い訳をなんとか探そうと必死だ。
さっきのキスの時、の口の中はきびだんごの味で充満していた。明らかに食った後だ。彼女が・・・。
正直信じたくなかったけど、やっぱりはとても分かりやすい。俺はそんな彼女をニヤニヤしながら見つめていた。
「・・・あとさ、今までずっと言わなかったけど」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・この部屋に入った時点で・・・・・・もう既に分かってたんだよ。『あ、が犯人なんだなぁ』って。」
「!!!!・・・・・・・・・な、なんでっ・・・・・」
「バレないと思ってた?・・・匂いが嫌でも分かっちゃうんだよ、嗅覚が敏感だからさ。・・・だってほら、犬だから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
『しまったっっ・・・・・・』とでも言いたいように顔を伏せてしまった。さすがに返す言葉が見つからないだろう。
何も言えずにじ━━━━っと黙ってしまった。しばらく沈黙が流れる・・・・・・・・・
「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・キビさんの作るおだんご・・・私も欲しくって・・・・・・仕方なかったから・・・・・・。それにワンくん達がいつも美味しそうに
食べるから・・・・・・・・・・余計に・・・・・・・・・・我慢できなくって・・・・・・・・・・つい・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・ごめんね・・・・・・。激おこ・・・・・・・だよね?・・・」
「んー??全然怒ってないよ??」
安心させるため、にこっ☆と満面の笑みを見せた。
「本当・・・・・・?」
「きびだんごがそんなに欲しかったんなら欲しいって最初から言えば良かったのに。・・・キビに怒られると思ったから?」
「・・・・・・・・・。(こくん。)」
「もう、いっつも素直じゃねーんだからっ☆らしくて可愛すぎるよ♪」
からかうように言うとの真っ赤になったほっぺたにそっとキスをした。
━━━━チュッ。
「!・・・////」
「今度からは一人で欲張らずに、キビにちゃんと言って二人で一緒に食べよう、な?」
「はい。・・・約束します。」
「うむ、よろしい!じゃ、指切り、な?」
「そ、そんな事しなくてもちゃんと守るわよ・・・」
「ダメだぞちゃんとしないと。・・・・・・・・・・・・はい、指切ったっと!」
「・・・・・・・・・・・・・。////」
俺から恥ずかしそうに目を背ける。・・・あぁ、もう堪らなく可愛い。可愛すぎて仕方がないくらいだよ。
・・・今夜はいっぱい甘えまくったろう。俺はのふくよかな胸に顔を無理やり押し付けた。
「・・・っ・・・もう、やめてっ・・・くすぐったいっ・・・・・・////」
「いいじゃん。・・・もっと甘えたい」
「もう・・・ワンくんってば本当にお子様なんだから・・・・・・。」
それでもはにっこり笑って俺の頭をそっと撫でてくれた。とても温かい手で母親のように・・・優しく。
「・・・・・・・・・なぁ・・・」
「ん、なぁに?」
「大好きだよ。」
「・・・・・・・・・・・・。わ、・・・私も・・・・・・キビさんや皆が、すごく好きよ。・・・甘えんぼのワンくんも・・・
・・・・・・もっと大好き。」
「・・・最初から素直に言えばいいのに。」
「うるさい////」
そしてもう一度「好き」と呟いて静かにキスを交わしあった。温かいベッドの中。憧れ、そして好きになった人と
ふたりっきりの世界。夜明けまでわずかしかないひと時を、と共に過ごした。
そしてその夜見れた。お姫様と手を繋ぎ、共に幸せな時間を過ごしている、きびだんごのような、優しく甘い夢を━━━━
━━━━翌日。
「おや?二人共すごい真っ赤な顔しているけど・・・何かあったのかい?;;」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(怪しい・・・)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(ニ
ヤニヤ)」
「・・・ぐすっ、昨日ワンくんにおsΣぶふっ!!??;;;」
すかさずの口を手で封じた。
「実は俺たち、遅くまで酒飲んでたんすよっ!!;;;」
「酒?君たちお酒なんて飲めたっけ??;;」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。。。(余計怪しいっっ・・・!!)」」
「それで俺が部屋に帰ろうとしたらが酔っ払って『もっと傍にいてぇ〜〜〜。。。』とかワガママ言うから仕方なく」
「(ますます変に思われるじゃないのっっっ!!!しかもワガママはそっちでしょっ!!!;;)」
「(なんでもいいじゃん合わせろよ!!;;;)」
「・・・お前らそんな事言って・・・。二人で引きこもってなんかムフフなことしてたんじゃねーだろぉなぁ???」
「Σしてねーし!!なぁ??」
「う、うんっ・・・!!」
「・・・まぁ最初は分からなくても後日徐々に判明するフラグだな」
「・・・ふふふそうだねぇ??」
「Σ何が言いたいんだよ、しかもキビまでニヤニヤすんな!!」
・・・・・・もう無駄だ。完全に読まれている。近いうちに俺たち桃バンドの大きな噂となって広がるだろう。
・・・まぁいいや、そん時はそん時で、思いっきり自慢してやるんだ。
「Σそーだ朗報朗報!!なんと、我らのお姫様が遂に、桃バンドのボーカルとして新デビューするぜぃっ!!!」
「ちょっ、ワンくん言わないでよっ・・・!!」
「うおおおマジかよ、よっしゃぁっっ!!!みなぎってきたぜぃっ!!!」
「!・・・ようやく実現の時が来たかっ・・・」
「へぇ・・・驚いたよ・・・!君の美声は僕の耳にも届いているからね、きっとなるんじゃないかと思っていたよ」
「ま、待って待って!!そんな急には・・・!」
「大丈夫だよ。これから僕によって修行を重ねれば今よりももっと魅力的な歌声を発揮できるよ。」
「・・・ふふ、姫様の今後の成長が楽しみだ」
「へへへ、桃バンドますます売れるぜぃ!!☆」
「さぁライブへと出かけるよ皆。今日から忙しいから充分気合を入れるようにね。くん、君も一緒に来るんだよ。
まずは勉強のためにね」
「は、はいっ・・・!」
そして全員それぞれの楽器を所持しながら楽屋を出る。3人が遠くなったところでにぴたりと寄り添った。
はちょっと怒ったような顔で俺を見つめる。
「・・・もう、余計なことばっかり言うからっ・・・。」
「いいじゃん。『俺たち今日から晴れて恋人同士となりました!』って発表されるより数倍マシじゃん。
・・・どっちみちバレるけどな」
「・・・。ふふっ、そうだね」
「へへへ☆・・・、ライブが終わったらその後二人でこっそりデート、しような♪」
「恥ずかしいよ・・・。////」
「絶対迎えに来るから!楽しみに待ってろよ!」
「うん。約束だからね。ワンくん。」
「おうっ!約束!」
にっこり微笑んでいるの丸い額に熱いキスを贈る。今回のライブも必ず成功させる為に頑張ろう。
いつもと違う熱い気合が俺にパワーを与えてくれる。ギターを片手にキビたちの元へ追った。
━━━━そして共に過ごす。きびだんごよりとびっきり甘い、二人っきりの夜を。━━━━
-end-
★必
死に甘えまくるワンくんが書きたかった。・・・
それだけです♪
実はSunny Park(終わっちゃいますけど;;;)男性キャラの中でワンくんがめちゃめちゃ大好きです(*´∀`*)ダントツ一位ですよ!!
ワンくん可愛すぐるvvvというわけで咄嗟に浮かんだお話が↑これです。俺にもし弟がいたらワンくんみたいな
弟が欲しいなぁ、そして癒されt(←蹴)
何度もしつこいようですが何故ポップンは好きキャラが多すぎるんでしょうか????ロミ夫さんに限らず・・・(´∀`*)
へへへ←(゚Д゚)ウゼェェェ
・・・ちなみにラピストリアで早速好きキャラを見つけちゃいましてテンションやばいですwww
ストーリー&新キャラに期待っっっっ!!!!!!( ´∀`)bグッ!
←そこだけかい
14. 6. 9