かの世界的有名な偉人さんがおっしゃいました。



「星に願いをかければその願いは必ず叶う。」



小さい頃からその言葉に強く惹かれ、



大人になった今でも誰から何言われても決して疑わず、ずっと信じてきた僕は今宵も



夜空を眺めておりました。



無論、願い事はあります。




僕と、そしてあの人が、結ばれますように。と。








しかしいざ星が流れた時は、なかなか伝えられないのでございます。


「好き嫌いが無くなりますように」 「家族がいつまでも元気でありますように」

「世界が平和でありますように」


そんな願い事をかけてはただ星が虚しく消え、後で一人で後悔するという毎夜。


あぁ、僕の本当の願い事はそんなものじゃないのに。


こんなにも心の中は真剣なのに。


どうして肝心な時にいつも上手く行かないのでありましょうか、自分でもちゃんと分かっております。


それに流れ星だって毎夜必ず出て来てくれるほど優しくありません。チャンスは一回だけ。


今日は、僕の記念すべき生誕の日。


せめて今夜こそは出てきて下さい。と星にお願いするのであります。


暑くもなく寒くもないぐらいのちょうど気持ちいい夜風が僕を眠りに誘おうとしても


必死に耐えて、ただただチャンスが来るのを待っていたのです。


早く、早く現れて欲しい。今日の終わりを告げる時間が刻一刻と迫る。


その時。夜空にきらりと光った一筋の流れ星。


ずっとずっと伝えようとして伝えられなかった、願い事を。


年に一回しかない僕の誕生日だからこそ、叶えたい。


僕の、精一杯の願い事を。



「愛おしいあの人と、どうか結ばれますように」
















「王子」




我が目を疑いました。


なんと、僕の隣に愛おしいあの人… が、淡い光に包まれ舞い降りてきたのです。


僕が驚き、その名を呼ぶと優しくにっこりと微笑んだのであります。


「やっと自分の想いを伝えられたのね」


正に姫君のように美しい 。どれだけ貴方に会いたかったのでございましょうか。


これも、星が僕に与えて下さった奇跡なのでしょうか。


「私も王子がずっと好きだった。」


思わず、飛び上がりそうになりました。


夢にも思わなかった発展。こんなことが重なっていいのでございましょうか。


あぁ、流れ星に願いをかける事は本当だったんだと実感します。


信じて良かった。素晴らしい魔法の言葉をこの世に残して下さった方を。


そして、感謝します。


ありがとう。



「こんな私だけど……どうか、私と…結婚して下さい……。」

「喜んで。僕だけのプリンセス。」



そして無数の星たちが優しく見守る輝く夜空の下で


僕たちはそっと口づけを交わしました。━━━━




































「━━━━なんて素敵な夢を見たのでございますよ!もう起きるのがもったいないぐらいに!
あぁあの夢の続きがまた見たいのでございますよ」

「ふーん、それはよかったね」





宮殿の窓から白い光が照らし出される長く伸びた廊下で、昨晩の夢を嬉しげに語っていると
はそんな僕を冷めた眼差しで見つめておりました。可愛らしく、腕組みまでして。


「…まぁ確かにロマンチックな内容の夢ね。それ以前に色々突っ込みたい所があるけど…
『結婚しよう』ってのは普通男性の方からプロポーズするものでしょ?私の方からプロポーズなんて
何だかロマンを感じないし。…いや、それ自体もっとあり得ない話かっ。」


爽やかな笑顔で爽やかにさらりと流す 。僕はそれは無いと断言しようと胸を張って見せたのであります。


「な、Σ何を言うのでございますかっ!僕は君のことが」

「なぁに、シャイなつよし王子さま?」

「…や、やっぱり、何でもないのでございますっ……」


シャイな性格は にはお見通しだし、全くその通りでございます。尚も言葉を濁す僕を見て
「変な王子」とくすっと笑ってくれました。「それに…。」と はこう付け足したのであります。


「星に願いをかけるって、確かに誰かが言ってたし歌もあって有名だけど
結局は自分で努力しなきゃ叶わないし、意味ないんじゃないの?私、そう思うんだけどなー。」


僕の心にグサグサッと剣が突き刺さりました。 はなんて現実的主義者で、夢の無い方なんだろう。
女性なんだから少しぐらい夢を描いたらそれこそ可愛いのに。そんな笑顔であっさりと夢を壊すような口を
出さないで欲しかったっ。そして、まだ子供のうちに聞かなくて良かった、と大きく安心するのであります。
………けど……、そんな所も、 らしくて悪くない。そう僕は少し笑って許しました。


「というわけで自分ワールドの話に付き合わせた罰として、美味しいコーヒーをご馳走してね、
つよし王子。」

「僕の誕生日なのに、それは 如何なものかと…;;;…まぁ、いいですよ。マイプリンセス。(にこっ)」



最後の言葉は彼女に聞かれないように小声で囁きました。



…僕なこんな男だから。


君に口説く勇気も無い、シャイな男だから。


どうしても流れ星に頼ってしまう。


あぁ、


あの夢がいつか正夢になるのは


一体いつの話になるのだろうか。


今夜も星に願いを捧げずにはいられない。


…のでございます。




-end-






★まさかの夢オチっ………!?と思われがちですが、まぁたまにはこういう終わり方もいいんじゃないかなと(笑”)
AC15のシャイポップ(だったっけ?Σって;;;))の歌詞に合わせて書いてみました♪歌詞も曲のノリもなかなか良くって
特に気に入っております。特に歌詞がシャイな一面が表れているし、勇気を出したけど結局叶わなかった…;;ってガックシ度が
逆に気に入っております♪(二回目)


…てか、好きキャラに限る、とか言いながらもほとんど全キャラ書いてしまいそうな…予感が………(爆★←!?”)


14.10.25