ー。いつまで寝てやがるんだー。」




1階から神の呼ぶ声で嫌々目が覚めた。時計の針が示す午前8時を見て「まだじゃないか、」と仰天。
昨日遅くまで彼の仕事を色々手伝わされたおかげで疲れているのだから朝ぐらいゆっくり寝かせて欲しいものだ。
「今起きますよー。。」と欠伸混じりに返事をしてから寝間着姿のまま重たい体を起こして、眠たい目を擦りながら階段を降りていく。
そこには私の神様でもあり、そして夫でもあるMZDが呆れながら私の起床を待っていた。



「よっす、お寝坊すけさん。もう8時だぜー?」

「…うぅ〜、何が『もう』なのよ〜;;まだお昼にもなってな…」



階段の最後の一段を降りきったその直後。突然誰かが私のお腹にもの凄いで激突してきたっ。一体何事かと動揺し
危うく前に倒れそうな所だった。



「えっ!?な、なに、なにっ!?;;;」

ちゃんっ!会いたかったぜぃーっ!」

「あれっ!?ニャ、ニャミちゃんっ!?」



番組の大人気の司会者を務める、ミミちゃんと仲良しなネコ耳の女の子のニャミちゃんが私のお腹に抱きついてきた。
えへへと歯を見せて笑いながら、驚いている私の顔をにこにこと覗き込む。とにかくニャミちゃんの激突のおかげで眠気が一気に吹っ飛んだ。
しかしいつもなら当たり前のようにミミちゃんと一緒なのに、彼女が何故か一人でいる事は珍しかった。
「ミミちゃんは一緒じゃないの?」と少し驚きながら聞くと、神とニャミちゃんが順番に教えてくれた。



「今日は2月8日。ニャミの方の誕生日だから」

「うんっ!それで ちゃんだけにお祝いしてもらおーって思ってず〜っと待ってたんだよ。」

「こいつ朝から大丈夫かってぐらい、変にテンションたけーんだよ。ってな訳でせっかくだから一日相手してくれるか?
俺っちは色々と忙しいからな。」

「もちろん愛すべき夫の頼みなら断れないよね〜?(にやにや)」

「も、もうっ、ニャミちゃんったらっ…////」



そう、この世界を治める偉大な存在が選んでくれた、そんな彼の誇り高き妻である。神様の代わりの仕事は
私の仕事みたいなものだ。仕事といってもその内容は難しい程ではないのでもちろん嫌いではない。
二つ返事で引き受け、身支度を始めた。



「じゃあどっか遊びに行こっかニャミちゃん」

「よっしゃあっ!!遊園地行こうぜ遊園地っ!」



遊園地という、いかにも活発な性格のニャミちゃんらしい選択肢である。確かにこのハイテンションには期待できそう。
ニャミちゃんは好奇心旺盛なので場を盛り上げてくれたり色々面白そうな場所へと連れて行ってくれるので私は大好きで
まるでミミちゃんの立場になったみたいで正直なところ、嬉しい気持ちだった。
今日一日楽しくなりそうだな。と綻び、ニャミちゃんに腕を引っ張られて快調な天気である外へと飛び出した。










ー、遅いっ!早く早くっ!」

「そんなに慌てなくても、人気アトラクションは逃げないよ」

「だからこそ、人が多くて入れなくなるの!…やぁったぁー、 ちゃん!まだ空いてるよ!早く来て良かったねっ!」

「(…え”、ジェットコースターっ…!!??;;;しかも……長くて怖そうなんですけど)わ、わーすごく面白そうだねー(棒)」

「あれ? ちゃん顔がえらくひきつってるけど」

「ううんとんでもないっっ!ニャミちゃんの行く所、どこまでもついて行きますっ!(誕生日なんだから、ニャミちゃんの気分を
損なわないようにしなくちゃ…!)」

「よぉーしさっすが ちゃんそうこなくちゃっ!☆やった、しかも私達先頭だよっ!これはテンション盛り上げずにはいられないわー!!」




「きゃっほ〜〜〜いっっ!!!気持ちいーーーっっ♪」

「……………………。。。。。(恐怖)」




「あー楽しかったね!♪あ、あの絶叫系も絶対面白そうっ!お次はあれに乗ろうぜ ちゃん!」



あぁもしミミちゃんか神が一緒にいたら制止をかけてくれただろう。。。誰も止める人がいない限り、ニャミちゃんの暴走は
気が済むまで止まらないっ。死んだようにひどく憔悴しきっている私の顔を知る訳もないニャミちゃんに、
どこまでも腕を引っ張られるがままであった。。。















「ニャミちゃん。」

「うん??」

「ポップンパーティーを初めて開いてから、もうだいぶ経ったよね。」

「そうだなー、あれから10年以上は経って色々新展開だったり変わってなかったり、だよ。本当に時が過ぎるのが早いものだねー」



休憩に入ったおかげで気分が少し落ち着いた所で、ベンチの上で隣に腰掛けているニャミちゃんに何となくそう聞いてみた。
何故いきなり昔の話題を持ちかけたのか特にこれといったきっかけはないけど、ふと懐かしさがこみ上げてきた故である。
私はオレンジジュースを片手に、ニャミちゃんは自分のお小遣いで買ったピザパイを頬張りながら
しみじみと思い出に耽っていた。10年以上も。そんなに古いのか、と初めて知った。つまり私がまだ知り尽くしていない
ポップンパーティーも、ニャミちゃん達は最初からずっとずっと知っている訳だ。



「すごい!じゃあ5周年とか10周年の時はもっともっとド派手なお祝いパーティーだったでしょうね!」

「そりゃあもう!話し出したらキリがないぐらいよ。今度ゆっくり話してあげるね。」

「うん、聞かせてね。」

「…しっかし、神がポッパーの腕を競う為だのこーのの理由で偶然開いたポップンパーティーがまさかここまで長く続くとは、ねぇ〜。
私でも驚いているよ。」

「ふふっ、それはニャミちゃん達の元気な姿と笑顔が皆を楽しませてくれたおかげなんだよ。」



ニャミちゃんが「え?」と口を半開きにして、少しびっくりしたように目を丸くして私を見た。



「20回以上も開いたポップンパーティー、神一人だけじゃ無理だったと思う。ここまで長く続けられてきたのは
ミミちゃんニャミちゃんという、頼もしくて明るい助っ人たちがずーっといてくれたおかげなんだよ。神は表面上偉そうに振舞ってるけど
今でも二人にはすごく感謝している ―――そう言ってたよ。もちろん…私も。ニャミちゃん達が司会を務めてくれて
本当に良かったと思っている。」



目を何度もぱちくりさせながら、口元にピザパイの食べかすを残したままじっと私を見つめるニャミちゃん。
「お行儀悪いよ。」とクスリと微笑みながら指でそっと拭ってあげた。



「仲良しコンビがいないポップンパーティーなんて、…考えられない。だから私、ミミちゃんニャミちゃんがメインである
ポップンパーティーや笑顔,、これからも長くいて欲しいし、いつまでも大好きだよ!」

「……… 、ちゃん……。」



と、それっきり何も言わなくなり少し俯いて黙ってしまった。ニャミちゃんらしくないその様子に心配になり、横から覗き込むと
――――鼻をぐす。と啜って目元を拳で必死に拭っている姿。慌ててしまった。もしかして悪いことを言ってしまったんだろうか。



「ごっ、ごめんね、気を悪くさせちゃった?」

「う、ううんそんな事全然無いよっ!とっっっっても、嬉しいよっ!」



声を震わせ、涙目になってしまったニャミちゃんに正面から強く、ぎゅっと抱きしめられた。肩口から見える、長い三つ編み。
心地いい風に乗って綺麗にふわりと舞った。ぐすりと鼻をもう一度啜って、自分の泣き顔を見せないように必死で強気なニャミちゃん。
――――楽しませる為にここまで一生懸命頑張ってきたんだから、思い切り泣いてもいいんだよ。と優しくその背中を撫でてあげた。



「…ありがとう、 ちゃん。私も皆や、 ちゃんの笑顔が…すっごく大好きだよっ……!」

「私も大好きだよ。ニャミちゃん…。」

「私、これからもずっと…ポップンを愛してくれる皆や ちゃんの為に、…ミミちゃんと一緒に頑張るからね!」



目が少し赤くなってしまったけれど、それに負けないようにいつもの元気な笑顔をにかっ☆と見せたニャミちゃん。
その元気こそが、ポップンの顔そのものだ。



「よぉっし、じゃあ次はあれに乗ろうっ! ちゃんっ!」

「うんっ、賛成っ!」



そしてお互いの手をぎゅっと繋ぎ合い、残りのアトラクションを閉園間近まで思い切り楽しんだ。



ポップンパーティーの司会者、ニャミちゃんのお誕生日。彼女が生まれてくれたから、こうして今のポップンが生まれたのだ。

そんな貴方がたに、大きな愛と大きな感謝を込めて。




「お誕生日おめでとう。ニャミちゃん。これからもミミちゃんと一緒に、大好きなポップンを盛り上げていってね。」




-end-






★思えばこのコンビがポップンキャラで一番最初に出会ったキャラでもあって、初めて描いてみたキャラでもありますね!
私の長年の感謝の想いを一気にブチ込めたお二人へのバースデー夢小説ですっ!!本当 におめでとう、ニャミちゃんっっっ!!!
貴女方が居なければ今の私はきっといなかった!!!

ラピストリアが初めて発表されたとき、このメインのお二人が何故かいなかった時は心底めちゃめちゃ焦った記憶が;;;あれからもうすぐ一年かぁ。。。
すっかり見慣れてしまった私って一体!?(笑”)


…最近のイスラム国事件でかなり大きなショックと抑えきれない怒りで小説を悠長に書けるような心境ではありませんでした…。
これから戦争が始まろうとしているのか……。


15.2.5