トップアイドルであってミュージシャンでもあるタイマーさんが偶然私の家に訪問し、小さな女の子を連れてきた時はもっと驚いてしまった。
実の妹さんで私たちと同じ学園の初等部に通っているという、ちびっこアイドルとして人気を広めているミニッツちゃんだったからだ。
今日は彼女のお誕生日で、自分はスケジュールが一杯で祝ってあげられる暇が無く、代わりに相手をしてくれる人を探していたらしい。
どの家も都合が悪いらしく、丁度予定を空けていた私の所の情報を聞いてやって来た、というわけである。
忙しいお兄さんが夕方頃に迎えに来るまでの間、私が代わりにミニッツちゃんの相手を務める事になった。



実を言うと子供の相手は苦手と言うより下手の方に入る。まだ幼い彼女なので、泣かせたり怪我でもさせてしまったら私の責任になる。
こんな時に子供をあやすのがとても上手なお姉ちゃんが一緒にいてくれたら助かるのだが、忙しいお姉ちゃんに余計な負担をかけさせたくないし、
甘えてはいけない。しかも相手は私のように一般人ではなく売れっ子のアイドルなので、充分な気遣いを怠ってはいけない、と心がけた。



なんて予想していた心配は起こらず、やはり本来の仕事の影響もあってか人見知りは無くて気さくで話しやすく、こんな私でもミニッツちゃんと
すぐに仲良くなれた。これもアイドルパワー、というものだろうか。お誕生日ケーキを作る時も一緒に手伝ってくれたり
私の提案した、ごくありふれていた遊びも精一杯楽しんでくれたり、まるで本当の姉妹になったような気持ちになって
時間の経つのがとても早く感じた。天真爛漫の無邪気な笑顔のミニッツちゃん。
私にもし、こんな可愛い妹がいたら和むだろうなぁ…なんて思った程に。タイマーさんが羨ましかった。















おねーちゃん、今日はすっごく楽しかったよっ!ありがとっ!」



夕日がきれいに染まる公園でブランコに揺られながら、ミニッツちゃんは鎖を持ってゆっくりと揺らしている私を見上げて
あどけない笑顔を見せた。私もにっこりと微笑み返した。



「そう?本当に?」

「うんっ!おねーちゃんの作ったお誕生日ケーキ、すっごく美味しかったし、大好きなマカロンもあって嬉しかったよ!」

「ふふ、ミニッツちゃんが満足してくれたなら私も嬉しいよ。」



実はあのマカロンは氷海さんから貰って、後でおやつとして食べる予定を楽しみに隠していたつもりだったんだけど
ミニッツちゃんにあっさり見つけられ、独り占めされてしまった。。。けど、…ミニッツちゃんのお誕生日だからまぁいいか。と
笑って許してあげた。



おねーちゃん!」



夕日色に反射した、無邪気で弾けたような笑顔を私に向ける。



「ん?なぁに??」

「今度ねー、 おねーちゃんのお誕生日にミニッツがお礼に何かしてあげるー!」

「えっ、本当にっ?わぁ嬉しいなぁ、何してくれるのっ?」

「うん!おねーちゃんのおうちに、お泊りに行くのっ!」



「え。」とブランコの鎖を揺らす手を止める。ちょっと待って、こんな売れっ子アイドルが私の家にっ!?
…と信じられなく、思わず疑ってしまった。どこにでもいるごく普通の平凡な女子高生と、テレビ界で注目の大人気アイドル。
そんな身分の差を意識してしまうので一般人の家に彼女がお邪魔して来たら、家族がどんな反応をするのか。
いや、それ以前にこっちの方が余計に気を遣ってしまう。。。



「そ、そんな、いくら何でもそこまではいいよ。それにアイドルなんだから、ほら、ミニッツちゃんのお仕事だってあるんでしょ?」



すると「むー。」と頬を膨らませた。どうやら冗談抜きで本気らしい。その目が真剣そのものだった。ブランコから勢いよく飛び降り、
両足を地面に綺麗にスタッと揃えた。



「ううんっ!おねーちゃんのお誕生日に、ぜーったい泊まりに行くのっ!ミニッツ約束破らないもんっ!
だから、はい、おねーちゃんもやくそくっ!」



スっ、と小指を突き出した手を差し出した。人気アイドルとして暇がないくらい忙しいミニッツちゃんだから本当かな。と疑いたいけど
決して口に出してはいけない。少し笑ってミニッツちゃんの視線に合うように屈む。



「じゃあお姉ちゃんのお誕生日にお泊まり会。楽しみにしているからね、ミニッツちゃん。」

「うんっ!!ぜったい、だよっ!」



飾り気のないとびっきりの笑顔で首を強くこっくんと頷くと、お互いの小指同士を絡め合った。
私の大きな指と、ミニッツちゃんの小さな指。オレンジ色の夕日の中で、私たちは約束の印をここに示した。



「ミニッツね、 おねーちゃんみたいな優しいおねーちゃんがいい!」

「ふふっ、じゃあいっそのこと、私たち姉妹になっちゃおっか?」

「なろなろー♪」

「それは行かないよ、お兄さんに怒られちゃうから、ね?」

「えへへ。。。」

「じゃ、帰ろう。お兄さんが待ってるよ。」

「うんっ!☆」



手をそっと出すと、喜んで私の手を握ってくれる。綺麗な夕焼けが優しく包み込む帰り道を、ミニッツちゃんと手を繋いで歩いて行った。





この後。本当にミニッツちゃんやテレビ局がわんさか集まって、私の家で実際にお泊まり会を開いたのは、夏になってからの出来事。



-end-






★2月ってほんっとうに、短いですね〜28日が来たと思った瞬間にもう3月ですよ(;´Д`)アセルワっ…!!!
最近(いや、元から?)本っっっ当〜〜〜に、作業に集中したい時はなるべく晩ご飯は控えるor食べない!!ようにしています。
晩ご飯食べたらすぐに眠くなっちゃいますからねっ、ほら2、3時間で仕上げてしまいましたヨっっっ!!!( ´∀`)bグッ!(自慢乙)

ミニッツたんカワユス!!vvv(*´Д`)おねーちゃんなんて呼ばれたらmikko.は和むどころかどぎまぎしてしまいます(笑)
私はチョコマカロンが好きです(´〜`)モグモク…さぁて何かつまもうかしら(あぁ”!?)


15.3.1