「こんにちは〜。」




朝の日の出もだいぶ早くなり、早起きするのも苦では無くなってきた今日この頃。その暖かいお昼頃。私の神様でもあって夫でもある
神・MZDと食卓を囲んでいると一人のお客さんがお邪魔してきた。テレビで大人気の司会者として活躍中の、ニャミちゃんと仲良しな
うさ耳の女の子のミミちゃんだった。にこにこと笑いながら私達の様子を眺めていた。



「えへへ、円満なご夫婦さまな事で」

「よーっす、ミミ。」

「あ、あれっ?ミミちゃん今日は珍しく一人だね。ニャミちゃんは?」



いつもなら決まってニャミちゃんを連れて遊びに来るのにミミちゃんが単独でいる姿は滅多に見られなかった。
不思議になって聞くと神とミミちゃんが順番に教えてくれた。



「今日は3月3日。ミミの方の誕生日だから」

「うんっ!それで ちゃんだけにお祝いしてもらおーって思って、ね!」

「この日を楽しみにわざわざ一人で来たからよ。っつーことで今日もこいつの相手をよろしくな。
俺はいつものごとく、色々と忙しくてな。」

「ふふふ、大好きな旦那様のお頼みなら、断れないわよねー? 奥さま。(にやにや)」

「も、もう、ミミちゃんったらっ…////」



そう。このポップンワールド全体を治める彼がこんなちっぽけな私を花嫁として選んでくれた、神様の妻である。
そんな彼の代わりに仕事を引き継ぐのが私の役目だ。仕事といっても大体は人付き合いが多いので
私にとって簡単なものばかりで、勿論苦ではない。丁度食事も終えた所だったので片付けは神に任して、出かける準備に掛かる。



「じゃあ出かけようかミミちゃん。」

「やったぁ!早く行こ行こっ!行きたいお店がたっくさんあるんだ!」



ミミちゃんはショッピング系が趣味で、最近見つけたお気に入りのお店や美味しいカフェなどを見つけては
私をよく連れて行ってくれるし話も合う所が多いので飽きなくて、大好きだった。そしてニャミちゃんの代わりに
私がミミちゃんの相方になったみたいで正直なところ、嬉しかった。今日はどんなお店を教えてくれるんだろう、楽しみだな。
期待を胸に膨らませ、笑顔のミミちゃんに手を取られて爽やかな青空の下へと飛び出した。














「ねぇねぇミミちゃん、どこのお店なの?」

「まぁまぁ着いてからのお楽しみ!…あっ、このお店だよ、 ちゃん!」

「…あっ、ここっ!私がずっと行きたくて、神に拒否られたお店っ!」

「でしょでしょっ?神は恥ずかしいから入りづらいんだよ。早速中に入ろー♪わぁー、超可愛い物ばっかりだよ〜✽
どれにしようか迷う〜〜vv」

「ふふっ、良かったら買ってあげるよ。ミミちゃんのお誕生日だから」

「ホントっ!?えー、 ちゃんに何だか悪いよ〜」

「いいよいいよ。あっ、これとかミミちゃんに似合いそうじゃない?」

「ううん ちゃんの方が絶対に似合うよっ!私が試しに着けてあげるね」

「えっ、そんな…。」

「あっ、すっごく似合ってて可愛いよ ちゃんっ!☆ふふふ、神が見たらきっと惚れ直しちゃうよっ!」

「そ、そうかなっ…??////ふふっ。」



なんて会話をきゃっきゃと弾ませ合いながらミミちゃんとショッピングを楽しむ。前から欲しかった服などを
お互いに着せ替えしたり、気に入ったものをどんどん購入したり、時には美味しいデザートを買って
お昼食べた食事を忘れるほどお腹いっぱい食べすぎてしまったり。こうしてミミちゃんと共に過ごす楽しい時間が過ぎ去っていった。







    





「ねぇミミちゃん。」

「ん、なぁに??」

「そういえば二人ってどういうきっかけで知り合って、友達になったの?」

「あれっ?ニャミちゃんから聞いてなかった??」

「ニャミちゃんにもそう聞いてみたけど、何だか『恥ずかしい理由だから!』って話してくれなくて。」



日向ぼっこを満喫しながら肩を並べてのんびり歩いていたミミちゃんに、以前から気になったことを何となく聞いてみたら
苺ジュースのストローを口に咥えたまま私に顔を振り向かせた。そしてゆっくりと青空を見上げると
「そういえばあんな事もあったっけなぁ。。」としみじみと昔を懐かしみながらミミちゃんは語る。



「…そうだなー。私とニャミちゃんが初めて出会ったのは、ポップンのオーディション受けてた時だったよ。
さすがに最初はこんなお揃いの格好じゃなかったけど、ね。」

「そうだったんだ。」

「んで最終審査にうちらが偶然残って、じゃあコンビ組みましょうかーって感じになって、それで今に至るんだ。
…あはは、よく考えてみたら割といい加減だよねっ!;;ニャミちゃんが話したがらない理由も何となく分かるよ。」

「じゃあ二人のその出会いが無かったら、…今の私は今頃いなかったね。」

「あっ………。」



そう暗くぽつりと呟くと、二人の足が同時に止まる。私の過去を知っているミミちゃんから笑顔が徐々に消え去り、
バツが悪いように下に俯いてしまった。



「…ご、ごめん。何だか急に…暗い話を持ち込んじゃったみたいで」

「ううん。今は気にしてなんかいないよ。……昔の私は皆みたいに家族も友達も居なくてずっと一人っぼっちで…。
全然笑わなくて誰にも口を開かなくて無口で、今と比べものにならないぐらい暗くて、夢も希望も失ったような私だったけど…。
あの日神と初めて出会って、そしていつも明るい笑顔で皆を楽しませてくれるミミちゃん達に出会った時…変わったんだ。
『この子達みたいに、私も頑張って生きよう』…いや、『生きなくちゃっ!』って」

「………。」



口を半分開けて目を何度もぱちくりさせながら私の一つ一つの言葉を黙って聞いているミミちゃん。



「そのおかげで私、自分でも見違える程に明るくなった。心の底から笑えるようになった。嘘みたいに友達が沢山出来た。
大好きな神と結婚して本当の家族になれた時は泣きたいぐらいに最高に嬉しかった。今の私や幸せな毎日、この結婚指輪が
こうして存在しているのは、ポップンや皆や…そしてミミちゃんニャミちゃん、貴女達のおかげ。
こんな私を全部、大きく変えてくれたんだよ。」

「…え、わ、私達、が…?」



声も、目元も、震えている。



「その恩返しがいっぱいしたくて神のお仕事、毎日楽しく頑張ってやっているんだよ。これからもずっと支えてあげたいし
10年20年経っても、おばあちゃんになってもこの気持ちは絶対変わらない。だから…
私の人生を変えて生きる道を与えてくれたポップンや皆や、ミミちゃん達がずっと、ずーっと大好きだよっ!」

「…っ……… 、…ちゃん……。」



感謝が溢れるほど詰まった言葉をありったけ話しきると、黙って聞いていたミミちゃんがとうとう耐え切れなくなって
小さく嗚咽を零しながら泣き出してしまった。深く俯いたその顔から大粒の涙が大量に流れ、地面に次々と落ちていく。
そんな姿が可哀想と言うより、とても愛おしく思えて。



「おいで。ミミちゃん。」



笑顔で優しく両手で迎え入れると、言われなくても分かっていたようにすぐに飛び込んできた。肩口に顔を押し付けられ、
「ひくっ、ひくっ。」と声と肩を震わせる。一個一個丁寧に編んだ長い三つ編みが心地よい風に乗ってさらっと流れた。
泣き続けるその頭を抱きしめながらそっと寄り添った。



「…っ… ちゃんっ…ふえぇっ……。」

「大丈夫。大丈夫だよ、ミミちゃん」

「ううんっ……こんな私達のおかげで…まさか、そんなことっ……思ってもみなかったからさっ……。
……嬉しい、すっっっっごく嬉しいよっ!!大好きだよ、 ちゃんっ……!」



ぐすっと鼻を啜って一生懸命涙を拭いた後、にこっ☆と笑ってミミちゃんは明るく言った。



「…わたし、約束する。 ちゃんやポップンをこれまでもこれからも愛してくれる皆や仲間の為にっ…ニャミちゃんと一緒に頑張る!
だから、いっぱいいっぱい、応援してねっ!」

「うんっ!頑張ってねっ!」



涙声になってしまったけれど、それに負けないようなとびっきりの笑顔をぱぁっと見せてくれたミミちゃん。
その元気こそが、ポップンの顔そのものだ。



「よしっ、じゃあ次はあの店に入ろうっ、 ちゃん!」

「うんっ、賛成!」



そしてお互いの手をぎゅっと繋ぎ合い、暗くなるまでショッピングを精一杯楽しんだ。



ポップンパーティーの司会者、ミミちゃんのお誕生日。彼女が生まれてくれたからこうして今のポップンが生まれたのだ。

そんな貴方がたに、大きな愛と大きな感謝を込めて。




「お誕生日おめでとう。ミミちゃん。これからもニャミちゃんと一緒に、大好きなポップンを盛り上げていってね。」




-end-






★やはり何かの些細なきっかけが気持ちを変わるって素晴らしいことですね!!この夢主の過去はまさに私の過去そのものです。
ポップンミュージックがこの世に無ければ今の明るすぎる(?”)私はきっといなかったし、前向きになれなかったし
イラストも夢小説も描こうと思いませんでしたね。ほんとポップンには学生時代も今も助けられてばかりなので
私なりの恩返しが、バースデー夢小説です!さすがに小説に出来ないキャラは、イラストで補うということで(汗”)

本当におめでとうミミちゃん!!貴方がたの出会いに、今でも感謝しているよ!!!


15.3.3


※初の大・大・大遅刻ですっっっ……ごめんなさいミミ子っっっっ……!!!!