私達は5人グループのクラスメイトで大の仲良し。テスト勉強や大きな行事などで一丸となって協力し合ったり
一人が悩みを抱えれば皆が親身になって相談に乗ってくれたり、いつも5人固まって何をするにも一緒だった。
リーダーとなって皆を引っ張ってくれる烈くん。ムードメーカーでいろんな話題に花を咲かせてくれる鈴花ちゃん。
優しいお姉さん的存在の氷海さん。そして勉強などで分からない所があったらすぐに対応し、丁寧に教えてくれる
頼もしい風雅くん。みんなみんな大好きだ。卒業してもいつまでも友情は変わらないで居たい。


…特に風雅くんだけには特別な感情を持っていた。









今日は記念すべき風雅くんのお誕生日。そのお祝いに遊園地に遊びに来た時の事。


…ハロウィーンの時期だからといってそこまではないだろうと思った。




「次は、遊園地に来たからには挑まずにはいられない、ここ・史上最恐のお化け屋敷に挑戦だっ!!」

「烈くんったらまたそんなもの見つけてぇ〜;;」

「全く女の子を怖がらせるものなら何でも好きなんだから」

「絶っっっっ対嫌だよぉ〜;;お兄ちゃんに小さい時無理やり連れられてトラウマだもんっ!そんなトコより
観覧車行こうよ観覧車!」

「じゃあ誰が行くか、ジャンケンで決めようぜ!5人ひと固まりで行くのも面白くないからな。
今回は勝った2人がお化け屋敷のチャレンジャ〜だっ!!」

「へぇ、それは悪くない」

「もっ、もう風雅くんまで〜;;;」


全く、私と鈴花ちゃんが怖がりだということを知っておきながら…。言いだしっぺと無口で爽やかに挑んだ
男ふたりが勝って、びーびー泣き喚きながら出てきたらそれこそ面白いんだけど。
…負けること、祈って………!

運命の決断が下されるジャンケンの結果…


「ぃやぁったぁっ!!私負けちゃった♪」

「って、私、勝っちゃったよぉっ!!!;;;」

「俺も勝ってしまったんだが。」


え…?隣の声にゆっくりと振り向くとジャンケンで勝った手元をクールに見つめる風雅君がいた。
…えっ、私、まさか…風雅くんと、ペアにっっ!?心臓がどきっと波打った。


「おぉっ!お前らなかなかお似合いのカップルじゃないか!」

「Σかっっ…////も、もうっ、この、バカ烈っっ!!!」

「頑張ってね〜♪私たちは観覧車に乗って待ってるから!もしお化けが出てきたら『きゃーっ!!!』って
叫んで風雅くんに抱きついてればいいんだよっ♪」

うぅっ…そんな恋人らしいことができたら既にしてるよっ!;;…って何言ってんの私っ!

「クスッ、 ちゃんが風雅くんの腕にしがみついて出てくる所、楽しみに待ってるわ」

「さぁ、正々堂々と入った、入った!」

「くぅっ…みんなひどい!!言っとくけど、何が出てきたって怖くないんだからねー!」


入ろうとする私と風雅くんをからかい、面白そうに傍観する3人を「覚えてらっしゃいよ!」と睨みつけてやる。
入り口付近で一度入ったら後戻りはできない、怖いお化けがいきなり飛び出すので心臓に悪い方は要注意、
カメラ撮影禁止…などなどお化け屋敷ならではのお約束事を聞いてから、真っ黒い分厚いカーテンを開いた━━━━


















「烈くんったら言い出しといて決して自分も行こうとしないんだよね〜こーいう怖い系は特に。」

「烈らしいよ」

「にしても…すんごいじっとりしてて薄暗いし、肌寒いね」

「だからこそお化け屋敷だし、面白いじゃないか」

「ちょっとっ、風雅くん楽しんでるでしょっ!」



何時何処から何が出てきてもおかしくない空気とそして何より、嫌な気配が辺りを漂う。頼りのないぼんやりとした明かりを
ただ目指し、薄暗闇の中をまっすぐ歩いていく。室内もひんやりと冷えて嫌に涼しいけど、ちらりと見る風雅くんの横顔も
余計涼しく見えるのは私だけなんだろうか。…けど…。風雅くんと、初めての二人っきり。なんてロマンチックなんだろうと思った。
…このおどろおどろしい雰囲気さえ無ければ。風雅くんが横目で私を見る寸前に、慌てて目線を逸らした。


「歩けるか ?手、握りたければ握っても構わないぞ。」

「!!…//// 」

意外な一面を知った。風雅くん、紳士的な所があったなんてっ…!体は既に冷え切ってるのに顔だけがすごく熱い。
それは少しだけ勇気が奮い立つし、何より…嬉しい。だけど私の悪い癖が発生し、風雅くんのせっかくの好意を
無駄にしてしまった。


「けっ…結構ですっ!!こんな場所、全然怖くも何ともないわっ!」

「本当か?」

「最初にも言ったけど、私はどんな化け物が出てきたって風雅くんみたいにクールに無視してやるし絶対叫ばないかr」

突然、沢山の墓標のある原っぱから一体のゾンビがバッと飛び出してきた。

「ひゃあぁぁぁっっ!!??;;;」

いきなりのびっくりポイントに心臓が飛び出そうなほどかなりビビってしまい、もう少しで風雅くんにしがみつく寸前だった。
こんな私に比べて風雅くんは…身動ぎ一つ無しの冷静な対応だった。

「…だから腕にしがみついとけと言っただろ」

「な”っ…風雅くんまで私をからかう気っっ…!?しかもそんな事一言も言ってなかったでしょっ!;;」

「こんなことでいちいちびくつくなよ 。これはほんの序の口。それに…手の込んだ作り物だと思えば
なんとも思わない。」

「うぅぅぅそれは分かってるんだけど〜;;序の口にしてはいきなり過ぎるよ〜〜;;;」

「ほら、ぼーっと立ち往生してると置いてくぞ」

ちょっとでも怖がってたら可愛いのに…。余りにも冷静すぎる風雅くんがかなり悔しく思えてきた。

「うううう、もうっ、分かったわよ行きます、行けばいいでしょっ、何さっ、ゾンビとかお化けなんて全然へっちゃらよ、
出てくるならさっさと出てきなさいよ…」

調子に乗りすぎたその言葉がいけなかったのか、応えるように2,3匹のゾンビが後ろから追いかけてきたっっ。

「Σきゃああああああッッッ!!!!もう嫌だっ、さっさと帰りたいっ、ここを出たいぃぃぃっっっ!!!!!」

とうとう我慢の限界を感じ、何かにしがみついてはいられなくなり、反射的に飛びついてしまった。







「…

「…っ…ひくっ、ぐすっっ、ねぇ出口はいつなの…?早くこんなところ、出たいよぅっっ…」

「…腕」

「え…?」


涙でぼろぼろになってる顔を上げると、いつの間にか私の両腕が風雅くんの腕にひっしと抱きつき、柔らかい胸が
ぴたりと張り付いていた。思わず顔を真っ赤にし、即座にぱっと離した。

「きゃっっ!ご、ごめんなさいっ、私ったら…ついっっっ…」

「いや、別に。あれだけ強がってた の泣き喚く姿が可愛かったから正直、もっと見ていたかったんだが。」

「…!!!…////」

顔の体温がかぁっと急上昇した。しかもそんなにクールな目で見つめられたら…余計にっっ…。私の気のせいかもしれないけど
風雅くんの目元が微笑んでいるように見えた。……そんな胸がときめくような言葉は別の場所で言って欲しかったっ。

「…も、もうっ、こんな場所で言われたって全然ロマンチックを感じないわよっ!;;ほらほら風雅くん先頭行ってっ!
そうだわっ、風雅くんの後ろにいれば何も被害に遭わずに済むんだかr…」

私が通り過ぎようとした時━━━━バキバキバキっ!!!壁の向こうからたくさんのゾンビ達が不気味な鳴き声を発しながら
破れ出てきたっっっ。

「いやああぁぁぁっっっ!!!!ちょ、っと、なんで風雅くんの時は何も起こらなかったのに私にだけ━━━━っ!!!!」

が脅かしやすいし、反応が面白いからじゃないのか?ほら、捕まってろよ」

「う、うんっ…!!!」

出口がもうすぐ近くなると共に恐怖も一層増していき、もう私一人では歩けないぐらいのLvに達してきた。風雅くんのすらりとして、
どこか弾力のある逞しい片腕。ほんのりとした温かみが私に少しだけ安心感を与えてくれた。…もうここまで来た以上、
最後に烈くん達に笑われても構わなかった。とにかく外の光が待ってるゴールへと目指したかった。もう無我夢中だったっ。

「きゃあぁぁもう勘弁してえぇぇっ!!!風雅くん得意のハリケーンであいつら吹っ飛ばしてよぉっっ!!」

「俺がお化け屋敷関係者に怒られるだろ。 も一緒に怒られてくれるならやっても構わないんだが」

「それも嫌d…って、いやあぁぁぁもうどんだけ出てくるの、本当に勘弁してよ━━━━ッッ!!!!」


自分でも何が言いたいのか分からない私だけの奇声がお化け屋敷にきんきん響き渡る。風雅くんはというと…
最後の最後まで風のように涼しく冷静な対応だった…━━━━











おぞましい地獄から無事生還。泣きじゃくりながら風雅くんの腕と手に必死にくっついて出てきた私を見て大笑いされ、
惨敗、という結果となった。。。叫び疲れと走り疲れと、そして泣き疲れでクタクタとなり、3人とは暫くの間別行動となった。
ベンチに崩れたように腰掛ける私に風雅くんがジュースを差し出してくれた。奢ってもらったジュースは特別美味しい。。。
そしてストローでぐいぐい飲みながら私の隣に座ってきた。


「…ごめんね風雅くん。私の叫び方、半端じゃなかったでしょ?」

「…別に。 も案外女の子の面があるんだなぁって初めて知った」

「Σどっ…どういう意味よそれはっ!;;私はいつだって女の子よっっ!」

「冗談だって。」

…けど思わず微笑んでしまった。風雅くんもちょっとだけ笑っているように見えた。

「でも…風雅くん何が起きようが本当動じなかったよね。一人で入っててもあっさり出て来てこれたんじゃぁ…」

「そんな事ないぜ?今日ははっちゃけた誕生日で、すごく楽しかった。ありがとうな、 。」

「!…////」

くしゃくしゃと頭を撫でられ真っ赤な顔を思わず伏せてしまった。…あぁ。私、今、心臓がドキドキと鳴っている。
これが…恋しているという事なんだな。………3人が戻ってくるまでの間…いいよね……。
いつの間にか風雅くんの肩にそっと寄り添っている、そんな私の頭をよしよしと撫でてくれる風雅くん。
最高に…嬉しかった。


「…ねぇ風雅くん。」

「ん?」

「…今度二人だけで…別の遊園地に行こうね。」

「あぁ。もちろんお化け屋敷付きでな」

「うん!約束だよ!」



貴方と一緒なら、どんな怖い道だって乗り越えられる。



-end-





Σなんとっっっ、仕事から帰ってから2、3時間ですぐに完成してしまいまし たっっっ!!!!!
ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイこんな事初めてっ・・・・・・・・・!!!!!(自慢?)


烈くんだけお祝いするのもどーかと思い、ちょうど誕生日が近い風雅くんも書きました♪ラピストリアの
メインキャラですしね!!書きたいお祝いキャラが多すぎてmikko.を余計に悩ませますね♥←うぜぇし


約2,3年前京都の映画村のお化け屋敷に行った泣きたい思い出を元に書きました^^(実際ボロ泣きでしたけど;;;)
怖いものは好きなんですけど、あぁいう心臓に悪い脅かし系は苦手ですね…|||||| だっていきなり何の予告もなしに出てこられたら
寿命が縮むじゃないですか!!(泣)
今度お化け屋敷に挑む時があるならば勿論★彼氏付きで!!!!いざとなったらロミ夫さんが守ってくださr(蹴)

学生時代は本当青春真っ盛りですねぇ〜、学生の皆さん、悔いのない楽しい生活送ってますか?
私の学生時代はそんな青春なんて文字はなく、どす黒な 時代でした…(ポップンに会うまでは)
今?今は大好きなポップンに囲まれてもーうバラ色で すよ♪♪♪(聞いてねーし(#゚Д゚) )

14.10.18