「あのさ、D。」


「?何だよ」


「明日、ドナちゃんのお誕生日だね。」


「…………あぁ、そうだっけか。」







すっかり涼しくなって季節の早さを感じた昼下がりの街中。肩を並べて手を繋いでいる彼・Dに
思い出したようにそう言ってみると、「もうそんな日か。。」と呟くように天を仰いだ。


━━━━オーストリア出身の、Dと同じロッカー・ダミやんさんの熱烈なファンである
大の親友のドナちゃん。10月7日はそんな彼女のお誕生日を迎えるのだ。友達として
いっぱい祝ってあげられると思うと、心が浮き立つ。



「……………………で?」


Dの声がさっきよりも若干低い。…というか、かなり不機嫌そうに聞こえる。


「誕生日プレゼント、ドナちゃんだったら何がいいかなぁって思って。」

「……さぁ?あいつの事だからいつものダミやんグッズの方が喜ぶんじゃないか。」

「…D?あんまり乗り気じゃないね。。。」

「…………。」


Dは私が他の人の話をするのがとても気に食わなく、顔だけそっぽを向いてしまい返事も素っ気ない。
私を誰よりも好きでいてくれて、独占欲がすごく高いのは知っているし、何より嬉しい。けど、
別に他の男の人の話をしているんじゃないからそこまで嫉妬しなくてもいいだろう。。と毎回思う。
…たとえ同じ女の子同士だろうとも関係無しに、だ。
目隠しで覆い隠されているので表情は分からないけど、きっと…怒ってるまでは無いけど
浮かない気分なんだろう。そんなDの気持ちはとても分かるけど。繋いだ手にぎゅっと力がこもる。
「お前は誰にも渡したくない」と言いたいように。


「…D、もしかしてドナちゃんが嫌いなの?」

「別に、嫌いってわけじゃねーけど」


その時、遠くから私たちに向かってパタパタと走ってくる足音にもちろん、気づかない。


「俺が 以外の女に興味ねぇってこと、知ってんだろ」


私の腰を強引に引き寄せると額にそっと口付ける。二人きりの時でしか絶対見せないDのこの行為に
少し驚きながらも「大胆になって来たな」と顔を赤らめた。


「…それにね、せっかくの誕生日の前日なんだから、ドナちゃんに伝えたいことがあるし」

「?伝えたいことって何だよ」

「それはね…」

「こっらぁぁ〜〜!昼間っからいちゃこらしてんじゃねーよっっ!」


その時はっちゃけた声が聞こえ、後ろから私たち二人の肩を飛びつくように抱かれた。
噂をすれば影。当の本人・ドナちゃんだった。


「なっっ…おま、いつの間に……!!?////」

「ドナちゃん!」

「お二人さんラブラブで何よりだねぇ〜♪こっちも思わずにやけてしまうよ。いっそのこと
結婚しちゃえばいいのにー♥こぉのリア充めー☆」

「もっ…もうっ、冗談は止めてよっ…////」

「…お前それ以上調子乗るとぶつぞ。」

「へへへっ、 ちゃん達がイチャイチャしている間、ダミやん様のライブいーっぱい堪能して来たよっ。
あー、痺れるぐらいかっこよかったなぁ〜ダミやん様っ!またどっかで開いてくれないかなぁ〜〜」


ダミやんさんの話題が続いてドナちゃんらしいなぁと思う。私もダミやんさんのライブに連れられて
その迫力を知っているのでドナちゃんが長くファンでいる理由もとても分かる。Dにはそんな話は
全く興味の欠片もないし、何度も聞かされているから耳にタコか。
けど、普通なら「明日は僕の記念すべき誕生日だよっ!」とか言うのにそんな話題が一切無い。
もしかして忘れているんじゃないだろうか。Dと顔を見合わせた後、せっかく話に花を咲かせている途中で
悪いと思いながらも聞いてみた。


「…ドナ。明日は何月何日の何曜日だ?」

「えっ?明日は〜、10月7日の、火曜日だよ?」

「お前、自分の誕生日を忘れるとかどんだけダミやんに夢中なんだよ…」

「ふふっ、ドナちゃんお誕生日おめでとう。」


そう言われて考えるドナちゃん。そして少しの間の後、「あっ!」と思い出したようにポンッと手を打った。


「そういえば、うちのじいやが『近々お嬢様のお誕生日会を開きますので』とかなんとか言ってた!
あー、ダミやん様のライブの為にいつも家を飛び出してじいや放っておくからすっっっかり
忘れてたよ〜〜。。。」

「はぁ?お前、どんだけなんだよ…」


そう呆れるDに「まぁ気にしない!」とあはは〜と呑気に頭を掻くドナちゃん。…そんなドナちゃんに
今まで言う機会がなくって言えなかった事を、思いっきり伝えたい。Dと同じ、恥ずかしい心境だけど
…お礼を言いたい。


「…ドナちゃん。今まで、その…黙ってたことがあったけど」

「えっっ?なになにっっ??Σまさかっ、本当に二人とも結婚します宣言っっっ!!??」

「…… 。こいつ、本気でぶっていいか?」

「…その…ありがとう、ドナちゃんっ。」

「!? ちゃん何だよいきなり〜、照れるじゃんか〜〜;;」


…いきなりお礼を言われるとそれは照れるし、戸惑っちゃうよね。


「ぼ、僕、 ちゃんに、何かいいことでもしたっけ??」

「うんっ。してくれたよっ。」


にこっと笑う私。Dは何事かと耳を傾けようとしている。


「ドナちゃんがあの時、私たちの前に現れたことがきっかけでこうして大好きなDと恋人になれたから…。
もしドナちゃんが居なかったら、私たち今でもずっと変わらずにいて、何も発展が無かったんだと思う。
今でもこうしてDと幸せな毎日を送れるのも、友達もたくさん出来たことも、
……全部、ドナちゃんのおかげなんだよっ。」

「……… ……。」

「……っ…。」


私の発言にドナちゃんは戸惑いを隠せずに一瞬だけオドオドする。


「…えっ、そ、そんな…僕、たまたまDちゃんを見かけたから、来ただけであって」

「ううん。おかげで私たち、やっと本当の気持ちをお互い伝える事が出来たのも、
ドナちゃんが居たからこそなんだよっ!だから今でもずっと、ずーっと感謝している。
…本当にありがとう、ドナちゃん。ね、D?」


歯を見せにこっとDに笑って見せると、Dはドキっとなって照れるように顔をさらに覆い隠した。


「…ま、まぁ元を辿れば…そういうことに、なるんだよっっ。」

「………っ……… ………ちゃんっっ………。」

「!!わわわ、ド、ドナちゃんっっ!?」


突然顔を伏せ、泣き出したドナちゃんにびっくり仰天して慌てて様子を見る。


「どっ、どうしたのっ、どこか痛むのっ?」

「…う、ううん……。 ちゃんにそこまでお礼言われたり、僕のおかげでそんなに発展するなんて
全然思いもしなかったから……。嬉しいよ、 ちゃんっ、ありがとうっっっっ!!!!
もうぎゅ〜って抱きしめたいっっ!!ダミやん様の2番目に大好きっっ!!!!」


涙ながらにぎゅぅ〜っと抱きしめられたっ。息も出来ないぐらいに胸に顔を埋められる。。
…2番目っていうのが何となく虚しかった気がしないでもない。


「き、きゃっ、ドナちゃん苦しいっ;;;」

「おいっ、実際にいつもやってるだろうがっ。」

「よぉ〜し、 ちゃん!これから僕と二人っきりのデートだっ!Dっ!悪いけど君の可愛い彼女さんは
頂いていくぞっっ!☆」

「え、えっ、ドナちゃん!?;;」

「な”っっっ………!!!おいこら待てドナっっ!!!!それだけは許せねぇぞっっ!!!!」

ちゃん、明日絶対僕の家に来てねっ!そんでその後ダミやん様のグッズ巡りだよ!」

「うんっ、もちろんDは抜きでね!」

「おおっ、さっすが僕の大親友!!ナイスアイデアっ!☆」

「こらぁ!!! までそれを言うかぁ!!!!!」


怒り狂って追いかけるDを放って行くように私とドナちゃんは肩を並べて街中を歩きながら
二人いつまでも笑い合っていた。



こんな楽しくて幸せな日々を作ってくれた、ドナちゃん。何年経っても変わらずに
私の、大好きな親友でいたいんだ。



-end-






★かつて高校時代にD×ドナとくっつけ合わせた懐かしい思い出があるので&↑の事もありますので☆
忘れん内に急いでバ〜っ!!!と書きました♪ボクっ娘ドナちゃん可愛いですね(*´∀`*)
彼女の再復活も無いものでしょうか。。。やはり、過去にこう、何らかの思い出を持つキャラがいたら
お祝いせずにはいられないですね!!^^女の子と女の子ってのもまぁ悪くないですなぁ ( ゚ ω゚)フム★
確かにキャラとキャラがカップルとかで絡むのも萌えますけど…今や夢小説がある限り、キャラ×夢主が
凄く萌えますよ!!!!!'`,、('∀`) '`,、←!?”


…ここでまたまた暴露話…↓にこう書いてありますが実はこれ、29日に書きました………(遅”)
やはりもうちょい早く気づけば…orz



14.10.7