気分転換に如月家の部屋の掃除をしていたら、ふと彼の写真立てが目に止まりそれを手に取って眺めた。
2月22日。大好きな恋人・Dのお誕生日。私にとって特別なこの日をどれだけ待ち侘びたことだろう。
Dがロッカーという夢を叶えるために生まれてきた記念日。色んな苦悩があった。だけど夢を諦めずに彼はここまで頑張って来れたんだ。
そんな彼をいっぱいいっぱい讃えてあげたい。祝ってあげたい。そして「おめでとうっ!」と言って思いっきり抱きしめてあげたい。
ライブハウスでロックギターを激しく掻鳴らすDの熱心で格好良い姿。その姿が、私に不屈な心と熱い闘争心をくれた。
「大好き。D。」そう呟いてから写真立ての彼にそっとキスをしてから続きにかかった。
さてお掃除も終わった。今日はDの好きな物を私が奢る約束だから、会うまでに準備を万全にしておかなきゃ。
財布のお金が少ないのでまずは銀行に行って充分に下ろさないとな、と思ったとたん携帯の着信メロディが流れ出した。
見ると親友のドナちゃんからだ。通話ボタンを押す。
「もしもしドナちゃん?久しぶり」
『あっ、もしもーし、
ちゃんっ?えへへ今日恋人さんのDちゃんのお誕生日だねー!』
「うんそうなの。それでこれからデートの準備をしている所なんだっ。」
『フフフほんとに君たちラブラブ一直線だねー♪今僕の隣にDちゃんがいるから、声聞きたかったら代わろっか?』
「えっ、D?」
ドナちゃんが誰かに『ほらほらー!』と声をかけている。遠慮がちに拒否をするDの声が遠くに聞こえたので
いつもの冗談ではないことが分かった。今ドナちゃんは彼と一緒にいるんだ。飛び交っている漫才のような会話に
思わず笑みが零れてしまう。もちろん、この後の驚くべき展開も知る由もなく。ドナちゃんの声が再び戻る。
『それでねー、今僕とDちゃんは
ちゃんの家のドア前まで来てるよ!』
「あ、そうなんだ…って、えっっ!?ちょっと待って、今っっっ!!??」
『うん、Dちゃんがね、デートなんかよりもどぉしても
の家に行きたいっ!てうるさくて。連れてきちゃった』
『…ばか、そこまで言ってねぇよ。』
じゃあさっきの会話も全部そうだったのか。確かにドア越しから二人の声が聞こえる。なんて気がつかなかったんだろう。。
『んじゃっ、そぉいうことだからっ!後はお二人さんだけでごゆっくりとね〜☆』
「ま、待って、ドナちゃんまだ心の準備が」
ぷつり、と切れてしまった。直後、すぐにドアベルが鳴り響く。あまりにも唐突な訪問なので焦りと緊張が私を慌てさせ、もう少しで
テーブルにぶつかりそうだった。「聞いてないよ〜;;」と独り言を言いながら急いで髪や服を整えてから玄関に走る。
ドアを遠慮がちに開けるとポッケに両手を入れた目隠しのDがそこに立っていた。
「よう。
。」
「き、来たんだ。も、もっと早く連絡してくれたら良かったのに。…あ、あれ、ドナちゃんは?」
「ニヤニヤしながら好き放題言った後消えやがった。」
「あはは、そうなんだ。ドナちゃんらしいね。」
「…で、中入れてくれねぇのか?」
「あ…あー、えっと…、まぁ、とりあえず、入って。」
「いいだろ今まで俺ん家に上がってばっかだったから。」
「う、うん、それもそうだよね。」
ど、…どうしよう。今まで男の人、しかも彼を自分の家に通した経験なんて一度もないのに。Dに「お前ん家に行きたい」と何度か言われ、
「散らかってるから」という理由で断ってきたけど実は本当のところ、恥ずかしかった。ドナちゃんや他のお友達を招き入れるよりも、ずっと。
「…ふぅん、ここが如月家か。随分と広いな。」
「そっ、そう、かなっ??」
しんとした自室に私の心臓の音が今にも大きく聞こえてきそうだった。感心の声を漏らしながらまじまじと周囲を見渡すD。
…掃除しておいて良かった、と安心。部屋の中心に胡座を掻いて座ったDの目にふと映った、私の愛用のギター。
それを見たDの口からこんな言葉が出た。
「…で。俺の為に自作の曲を弾いてくれるんだろ?」
「…………はいっ???」
突然何を言い出したのか一瞬分からなかった。思わず間抜けな声を出してきょとんとDを見る。
「な、何それ、きょ、曲っっっ?」
「は?いや、お前がオリジナルソングを生み出したっ!って聞いたからそれを楽しみにして来たんだけど。」
「え、えっ、い、いやいやそんな事一言も言った覚えないんですけど。誰からっ??」
「は??ドナの奴から聞いたんだけど」
「………。」
「………。」
目が点のしばしの沈黙。そしてそれを真っ先に裂いたのは私だった。
「え、えぇぇぇぇ!!???何それ、それこそ聞いてないよぉっ!!;;;;」
「いやいやいやこっちもえ━━━━って言いたくなるがな;;;;……何だよあいつのでっち上げた嘘だったのかよ…。
ったく、思わせときやがって」
も、もうドナちゃんったら冗談ばっかり言っといてっ…。まだDほどプロになったわけじゃないのに曲なんか出したくても
一人で曲を作れるぐらいの腕じゃない。。
うううと唸りながら頭を抱え込む私。Dはかなり呆れた様子で
長い髪を掻き上げていた。深い溜息。
よっぽど楽しみにしていたらしく、残念がっていた。そしてしばらく間が空いてからDが言う。
「まぁ今日は特にこれと言った用事はねーし、…それに曲だろうが好きなもんだろうが、俺にとってはそんなもん必要ねえよ。」
「…え?どういう…」
「決まってんだろ」
口元を端に釣り上げて何やら笑みを浮かべるD。
「お前が、――――
が俺の目の前に居てくれれば、何もいらねぇんだよ。」
「え、きゃっ!?」
不意に体をさらわれ、音と共にベッドにいきなり押し倒された。
「ちょ、ちょっと、Dっ、んっ、ふっ…。」
顎を持ち上げられ、唇を奪われる。今までとは違った、強引に近い口付けだったので抵抗したくても出来なかった。
温かい舌が私の口内を蹂躙する。深い、深いそれに思わず目を閉じ、Dの体に必死にしがみついた。
白い唾液の糸がゆっくりと引かれ、それがふっと切れる。
「…っ…ん、あ、はぁっ……。」
「…親、誰も帰ってこないんだろ?」
「そ、そうだけどっ…ダメ、だよこんな…昼間からっ……。」
「…いいじゃないかよ。俺と
二人しかいねぇんだから。」
濡れた舌が耳をゆっくりと這い、腰がぞくぞくと震えた。
「んっ、あっ…!やっ…」
「……可愛いぜ、
…。」
耳元にそっと囁かれたその甘い言葉とゆっくりと吐きかける吐息が耳の鼓膜を震わせる。
高まる心臓の鼓動が爆発しないようにはらりと出てきた涙を堪えて耐えるのに必死だった。胸を抑えても拍動が止まらない。
しかも毎日見ている私の部屋だから尚更だった。その時、Dの手が咄嗟に私の服の中に入ろうとしたところで――――
ハッとなった私はその手を強く、ペチりと叩いてやった。不機嫌な顔のDと対面する。
「や、やっぱりダメだよD…。恥ずかしい、よ」
「なんでだよ。お互いに好きなら…そろそろいいだろ。
だって本当は……したいくせに」
「な、何を…?」
「…分かってんだろ。」
「……を。」
耳元に唇がそっと近づけられ一番恥ずかしい言葉がぽそり、と呟かれる。間を置いてから、頬全体がかあっと熱くなった。
そんな私をからかうようにくつくつと笑うD。
「も…もうっ、バカっ!Dっ!!////」
「恋人として当然の行為だろ。」
「あ、当たり前の事のように言わないでよっっ!!」
「…今回はまぁ許してやるが、次からは待ったなしだぞ。」
「い、いくら冗談でも程があるよっっ!」
「冗談、だと?」
むっと少し怖い顔をされた。Dが咄嗟に目隠しに手をかけるとそれを一気に剥がした。本心が剥出しになったDの素顔が目の前にある。
凛とした両方の強い瞳が私を真っ直ぐじっと見据えた。
「俺は傍から見れば陰気っぽく見えるけどな」
「…愛する人、
を想う気持ちは誰よりも固く…無限大だぜ。」
「…っ………。」
幸せだ。
幸せすぎて、眩暈がした。
私だけしか見せない、Dの優しくふわりとした、かっこいい微笑み。私も精一杯微笑んだ。
恥ずかしそうに頬に赤みを帯びせ、「ふふ。」と笑った後、ぎゅっと抱きしめてDの唇にそっと唇で触れた。
私に大きな夢を与え、歩むべき道に光を照らしてくれた。
世界で一番大好きな
大好きな、D。
貴方に出会えて良かった。
好きでいて…本当に良かった。
「D………。」
「
……。」
「お誕生日、おめでとう。愛してる…。」
「俺も、愛してる…。」
彼の手によって掛け布団がそっと敷かれる。この大切で幸せな時間をいつまでも包み込むように、私たちは抱き合ったまま眠りに就いた。
-end-
★2月22日が猫の日、だってぇ???いいえ違います。Dさまの
お誕生日です。(きっぱり)
そして何なんだこのスーパーウルトラやば甘な要素わっっっっ……!!??い
つもか★(←
ではでは他の5人もやば甘要素を入れずにはいられんなぁ(´∀`*)ウフフ(おまわりさーん)
ロミ夫さんもそうですけど、Dさんと初めて出会ったあの年は「ちょwwポップンにこんなやば萌えのキャラがいてえぇのかっっっ????」
興奮して熱くなった一年でしたねぇ(*´Д`)ハァハァポップンが更にもうひと段階萌えたきっかけになったキャラでもありますね(〃▽〃)
作ってくださったデザイナー様様と、担当曲にマジ感謝っっっ…!!
※ちなみに如月という苗字は本来なら変更するべきでしたがDさんの誕生月・2月の意味なのでそのままにしちゃいました^^
Dさんおめでとうございますっっっ!!!!!
★★★★あなたと出会えてホントに良かったっっっ…!!!!!!ヽ(*´∀`)ノ
……誰に何言われようと一日遅れましたなんてぜっっってー書かないぜ……!!!!!d(書いとるやんけ)
15.2.22