♪真っ赤なお鼻のトナカイさんはー、いつもみんなの笑いものー…
など、世界中の皆誰もが知っている有名なクリスマスソング達が夜風と共に流れてくる。
先月の中旬から早くも迎えたクリスマスシーズン。2階のベランダから見える赤や緑などの
綺麗なイルミネーションが夜景を華やかに彩る。街や商店街では、まだイヴすらも来てないのに
既にクリスマスツリーや広告があちこち飾られていたり、今年が終わったわけでもないのに
お正月シーズンやおせち料理の予約、来年のカレンダーまで出されている店がたくさんあって
今年一年の早さを感じさせる。12月が来る度に「今年はどんな一年だったんだろう」と楽しかったことを
しみじみ思い出したり反省する。何となく嫌いではなかった。今年出来なかった分、来年こそは頑張ろうと
目標が立てられるからだ。
…にしても冬はやはりどうしても好きになれない。当然朝も夕方も暗いし寒いのは嫌いだから。
寒くないクリスマスなんて無いだろうか。こんな時期に世間の人たちやお店は一足早いクリスマスパーティーという事で
どこかで盛り上がったり、時には準備に追われたり、と色々忙しいだろうな。けど私には
そんな忙しさも、クリスマスだからといって焦る必要も無い。
この時期にしか必ず来ない彼が今年もやって来るのだから。
私だけの、真っ赤なお鼻のトナカイさんが。
「デイヴ、お誕生日おめでとうっ!」
「
ー、おまえ一年見ない間にまた美しくなりやがったなぁー、会いたかったぜ〜!」
「き、きゃっ!ちょっと、もう、子供じゃないんだからっ」
ソリに乗って遠い夜空の向こうから舞い降りてきたデイヴ。ベランダに到着して間もなく、
ソリを乱暴に捨てて私にすぐに走り寄ると、何処からそんな力が発揮出来るんだと思うような力で
私の体を上に抱え上げた。去年と全く変わっていない、デイヴの屈託ない笑顔。
どれだけ私に会うのを待ち焦がれていたんだろう、とその火照った頬と満面の笑いから凄く伝わる。
テレビやドラマなどでよく見る、王子様とお姫様の再会シーンそのものだ。
「デイヴって何か上着とか羽織らないの?よくそんな寒いカッコで来れるね」
見るだけでも寒気を感じる。温かいホットココアを勧んだけどいらないよ、と言われ断られた。
「
の存在自体が俺様の心をぽかぽかにしてくれるから!だから
と会える冬が
大好きなんだぜ!」
得意に笑って見せるデイヴ。その言葉で何だか無意識に体が熱くなった。
「どーだ
。今年一年、ちゃあんといい子にしてたかぁ??」
「ふふん」と言い、腕を組むと私をまっすぐじ━━━━っと見つめる。ふん、そーやって見て悪いところを
見透かそうとしたって無駄無駄。負けじと私も腕を組んでドヤ顔を見せた。
「あーら、ちゃんとお利口さんにしてきたわよ。嘘は全然つかなかったしたくさん親孝行してきたし」
「本当かあ?まさか俺様に隠れてこそこそ浮気とかしていないだろーな?」
「Σしてません絶対に!去年の約束、私はちゃあんときっちり覚えているんだからねっ」
「???去年の約束〜?」
「ほら、去年のちょうどこの時期、もっといい子にしてくれたらとっておきのプレゼントを
贈ろうって言ってたじゃない」
「…へ〜〜、そんな約束、したっけかなぁ??」
デイヴがわざととぼけて見せ、考え込む振りをする。
「Σしましたー!絶対にしてました!」
「…あー、思い出した。そういえば言ってたなぁ☆」
「もったいぶらないでそのとっておきのプレゼントっていうもの、早く見せてよっ」
催促するようにデイヴの服をぐいぐい引っ張る私をしばらく見ていたけど、やがて…
「よぉーし、じゃあ
にそろそろ渡しちまおう!俺様の気持ちを!」
彼のお誕生日なのに私がプレゼントを貰うって何だかおかしい。
手持ちのプレゼントの詰まった袋の中から取り出したのは、とりわけ大きなプレゼントではなく、
手のひらサイズの小さな箱。これが?と、期待して損をしたようにがっかり肩を落とすと
「開けてみろよ」と言われ、ゆっくり箱の蓋を開いてみる。
12月の誕生石・ラピスラズリがはめられた小さな指輪。
一瞬だけキョトンとなってしまった。…え、これってまさか。と顔を上げると
歯を見せてにかっ☆と笑われる。
「……今すぐに、までは言わないけどさ、まぁ、その…約束の印っつーことで!」
ラピスラズリの宝石が角度を変えるときらりと青く光る。私は信じられないようにしばらくそれを眺める。
これが彼なりのいつもの度が過ぎた冗談だったら、ただのプレゼントという事で流していただろう。
しかし照れ臭そうに見えるデイヴの目は真剣そのものだった。
…私もデイヴが好きだという気持ちに変わりはない。
けど人間とトナカイが結婚できるの?と本音をぽろりと口に出したら
「いーじゃん、ハーフの子が生まれたって♪」なんて台詞を平気で口にする彼。
全く、考え方はいつも無邪気なんだから。
「じゃあ、条件を出していい?」
「条件?」
「なんでも聞くぜ」と言わんばかりに目を輝かせて私に身を乗り出してくる。
「寒い冬以外に私に会いに来てくれたら…考えてあげてもいいよ」
そう言った後、難しい顔をして顎に手を当て、しばらくうーん。と考え込んでいた。
冬が大好きで、クリスマスの時期にしか来ないデイヴにとっては、ちょっと、いや、かなり
難しすぎる条件だったかな。すぐに返事が返ってくるわけがない。
そうしてどれぐらいの間がかかったのだろうか、意を決したようにくるりとこちらに向いた。
「うしっ、
の願いならば断れねぇ、サンタの親父と何とか話をつけてみるよ!」
「本当っ!?楽しみに待っているからねっ!」
「…その代わり、この格好以外で来ても、絶っ対笑わないでくれよ?」
「笑いませんって」
「嘘だっ!さっき想像して吹き出したろっ!」
「だーかーらー、どんなコスプレしようが笑いません」
「約束、だぜ?」
「うん、約束。」
ムキになってる彼の真っ赤なお鼻をつんと指で突いた後、おめでとうのキスを鼻の頭にちゅっと贈った。
少しだけびっくりしたようなデイヴの顔。これ以上見つめると恥ずかしいのでデイヴの胸に
顔を埋める。舞い落ちる雪の華。煌くイルミネーション。ほんのりと満たしてくれるオレンジ色のキャンドルの
部屋で。
貴方と、ふたり。本格的なクリスマスまではまだ早いけれど、耳に優しく囁かれた言葉。
「
。メリークリスマス。」
残り僅かな今年を貴方と過ごす、ハッピークリスマス。
-end-
★とうとう来ちゃいましたねぇ、今年最後の12月っ!!!!皆様どんな一年をお過ごしになられましたか??
私は絵というよりは夢小説をいーーーーーっぱい書きまくったある意味ハッピーな一年でしたかね!!!!!(死)
まぁまだまだ書くつもりですけど☆デイヴちゃんのアニメのGOOD絵、クスクス笑いがもぉぉぉ
うたまりゃん!!!!
萌を感じているのは私だけなのかっっ!!?(;゚∀゚)=3ハァハァ(自重っ)12月の、特にクリスマス生まれの人が羨ましいですね。
ちなみに……(↓真相を知りたくない方はドラッグしないことをお勧めします!!)
クリスマスは、悪魔を祝う儀式でもあるってこと、知ってました?
14.11.25