『妖怪バンドお手伝い募集』と書かれたポスターを偶然見つけ、憧れだったあのユーリさんの居城についに入城。
数名の希望者の中から一人採用されたのがこの私だとはなんたる奇跡なんだろう、と興奮してしばらく眠れなかった。
実家を離れ、妖怪バンドの下で働いてから早数ヶ月。テレビでしか見られなかった彼らの意外な一面を知り、
すっかり馴染み、家族のように暮らしているそんな充実した毎日を送っていた。作曲でイライラしながらも
何かと私やバンドメンバーに気を遣ってくれる優しいリーダーのユーリさんに、いたずらばかりでいつも私を
困らせてばかりだけど、不思議と憎めないムードメーカーのスマイル。そして特にイメージと違って驚いたのが、
ドラム担当のアッシュだった。
子供が怖がるからという理由で生まれつきの赤い両眼を前髪で隠しているため、陰気な人だとばかりと
思っていたが、話していると気さくで内容もなかなか面白く、意外にも礼儀正しい人だと知った。
マナーの悪い人(特にスマイル)にはお説教30分喰らうというどこか教育ママを思わせるような雰囲気を持ち、
見ていてクスッと笑ってしまった。…私も人のこと言えない一人だが。
しかも私なんかよりも料理が上手いし知識がすごく詳しいので、その見事な出来ぶりはショックを受けるほどだった。
けどあまり気取りはせず、丁寧に教えてくれたり「
の料理もすげぇ美味いっすよ」と言われた時は
先輩に褒められるなんてな、と何だかとても照れくさかった。かっこいいだけではなく、優しくて親切なアッシュに
惹かれずにはいられなかった。
今日の夕食は、教えられた知恵を生かし腕によりをかけて作り上げた料理。
アッシュが手伝おうとやって来たけど、「今日はアッシュのお誕生日だから」ともちろん断った。
彼の久々に羽を伸ばしたような、リラックスした姿。滅多に見たことがなく、私も安心し、嬉しかった。
ユーリさんやスマイルも盛大にお祝いしてくれ、アッシュのお誕生会パーティーは夜遅くまで盛り上がり、
華やかに幕を閉じた。
そんな真夜中━━━━
今日も私は自室で、楽しみに待っていた新作の映画をこっそりと観ていた。ジャンルは大好きな恋愛もの。
一人の男性と一人の女性が出会い、恋に落ち、青春ラブストーリーを描いたそんな物語。
今まで観てきた映画はどれも甘々なハッピーエンドで終わり、胸をいつもときめかせた。
そしてその余韻に酔いしれながらゆっくりと眠りにつく。私の密かな楽しみだ。
もうすぐ話もクライマックスを迎える。ここが見所、という時だった。
「こらスマイルー、また
の部屋を借りてギャンブラーZ見てんスか…って、あれ、
だったんスか?」
「あっ、」
しまった、と思った。早く新作を観たい、と気が焦っていた為ドアを閉め切るのをうっかり忘れていた。
そこから光や音が漏れているのに気づいて、風呂上がりのアッシュがひょっこり様子を見に来ていた。
怒られるな、とそんな自分を想像しながらリモコン停止ボタンを押そうとしたら
「別に構わねぇっスよ。邪魔するつもりは無いから」
「ご、ごめんね」
「いいっスけどなるべく早く寝るんスよ」
「はーい。。」
良かった、とほっと安心しもう一度再生ボタンを押す。液晶の光だけならまだしも、音が漏れていると迷惑なので
ヘッドホン着用してれば良かったかな。。など思いながら映画鑑賞に没頭する。アッシュは行っちゃったかな。と
ふと後ろを振り向くと、彼も立ちっぱなしで映画を一生懸命観ていた。意外さに少し驚いてしまった。
「…アッシュ?自分の部屋、帰らないの?」
「…あ、いや、
の観ている映画、どんなのかなぁと思って。」
いつの間にか私の隣にはアッシュが腰掛けていた。途中までだから話の内容についてこれるんだろうか、と心配だったけど
それでもアッシュはその場で釘付けになってしまい熱心に眺めていた。…この状態でこのままエンドを
迎えるのだろうか。恥ずかしいシーンとか出た時、どんな反応をするのだろうか、と緊張してしまい
映画にある意味集中できなかった。そして……とうとう来てしまった、最後のキスシーン。
『愛してる』 『私も』
「(……っ…!!!や、やだっ、恥ずかしいっっ………!!)」
いつも見慣れているはずのシーンなのにアッシュがいるおかげで滅茶苦茶恥ずかしすぎる。
これ以上見ていられなくなり、顔を真っ赤に燃やしながら慌てて停止ボタンを押そうとリモコンに手を伸ばした時、
私より一段大きな手がそれを阻止した。アッシュだった。
「いや。…このままで」
「………。////」
…何だろう、このドキドキする空気。一人で映画を見る時のドキドキとは全く違う。それよりもすごく、激しい。
そしてなんで私、手を、握られているんだろうか。ちらりと横を見ると、液晶から決して目を離さないで
無言で映画に集中している。今日のアッシュ、一体どうしたんだろう。マナーに口うるさいいつものアッシュじゃない。
…熱と緊張の汗がじわじわと滲んで来た。それでも手を離してくれなかった。
やがて映画の終わりを迎えたエンディング曲。長いエンドロールが流れ出した。しばらくの無言。
「…私ね、こういう恋愛系が大好きでいつも見ているんだ。…てへへ、意外でしょっ?」
「………俺も、好きっス。」
「えっ!そうなんだ。へー、アッシュも可愛いところがあるんだ」
「いや。
が。」
一瞬だけなぜ自分の名前が、と思った。…不意の驚きと動揺。もう少しで、「え…?」と言いかけそうなところだった。
「…っ…も、もう、また、お世辞をっ…」
と笑って見せると強い言葉が私の言葉を遮った。
「お世辞なんかじゃねぇっス。本気で言ってんっス。」
「………アッシュ……?」
「俺がスマイルみたいに冗談を言う男に見えるっスか?」
「…………。」
…そういえば近頃のアッシュが妙に変だなと思った。私と顔を合わせると何やら恥ずかしそうに目線を逸らしたり
話をまともに聞いていない所が多かった。前髪から覗かせている赤い眼が私をまっすぐ見つめる。
白い光しか映し出されていない暗がりの部屋でそれがはっきりと見えた。ドラムや料理などで働いてきたアッシュの大きな手。
強く、ぎゅっと握られる。
このシーン。まるで観てきた映画そのものだ。私もつられるように彼を見つめる。
「…俺、
に会えて本当に良かったと思ってる。」
何を今更。と笑顔が零れる。私もそれはもとからずっと思っているよ。
「…いつか帰ることになってしまっても、辞めないで欲しいっス」
「そんな事無いよ。私もアッシュや皆がすごく大好きだから。」
「
、…ありがとうっス。」
「アッシュ…」
とっても甘い恋愛映画を観た後だから、すごくくすぐったくて心までもが溶けてしまいそう。
けど、お互い何となくこうせずにはいられない。これも映画の影響からだろうか。自然と唇と唇が近づく。
「…この事、ユーリやスマイルには絶対黙って欲しいっス。」
「うん。口が裂けたって言いません」
『愛してる』なんていきなり過ぎるから、最初は『好き』から。
「…好きっス。
。」
「私も…。」
きっとアッシュもこの後真っ赤な顔するだろうな。なんて想像しながら
目を閉じ、手を繋いだまま静かに、そっと交わしあった。
映画のワンシーンのような、優しい口付けを。
-end-
★ちょっと、なんですかこの甘々わ”っっっ。いくら夢小説だからと言ってねぇ、大概
にして下さいよっっ。。。。
(自分が書いたんだろぃ、自分がっっ!!!)
アッシュさんはポップン3からの爆発的大人気キャラですね(´ω`)♪そんな彼のお誕生日!!☆いつになっても
彼らの人気は衰えませんなぁ(*´∀`*)
アッシュさんはかつて4,5年前に自分で書いていた小説で活躍させてた時期がありました。
(こんな夢小説とは違う、
ポップンワールドを駆け巡る冒険物語的な。)過去に書いてたやつをうpしてもいいんですがね、果たしてあの小説の結末は
どーなったのでしょうか。。。(いやいやいや…)
14.11.9